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文章表現としての「進化」とかグールドとか/吉川浩満『理不尽な進化』

 

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ

 

 すげー。
進化論をきっちりと理解した上で、そこから派生した進化論の歴史的・通俗的概念を書ききった本。ぼくが散々わめいていた進化論の通俗的理解について、わりと筋の通った(しかも意外と肯定的な)見通しを立てててびっくり。

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ソクラテスやニーチェなんか読まないで唯物論においでよ/戸田山和久『哲学入門』

 

哲学入門 (ちくま新書)

哲学入門 (ちくま新書)

 

唯物論的な「哲学入門」ってかなり珍しいんじゃないだろうか。かなり難解だけど、ぼくたち一般市民が哲学というものにどう向き合うかを考える上でも良書だと思う。ソクラテスニーチェを期待して読むと肩透かしを食らうかもしれないが、そういう人たちにはむしろ積極的に唯物論においでよと言いたい。

 

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今まで以上にアイデア一発勝負/早坂吝『双蛇密室』

 

双蛇密室 (講談社ノベルス)

双蛇密室 (講談社ノベルス)

 

 早坂吝の援交探偵シリーズ最新作は、過去3作と比べてずっとアイデア勝負。アイデアの面白さはさすがに信頼と安心の早坂といった感じだけど、タイトルの時点で問題編も解答編もある程度の流れが予想できてしまうという欠点はある。

 以下重大なネタバレあるので未読者は注意。

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面白かった本(2017/3)

3月に読んで面白かった本のまとめ。

 

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ちょっとコミュニケーションの苦手な一般人が友達とキャッキャウフフする日常系マンガ/谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(11)』

 

 1~10巻の感想と基本的には言いたいことは同じ。久々に読んだら「なんでもこっちこんなに好かれてるの?」ってなるけど、それが友達っていうものなんだと思う。一見すると、ちょっとコミュニケーションの苦手な一般人が友達とキャッキャウフフする日常系マンガにしか見えないのだけれど、前フリがあるから許されるよね。

ここから何らかの理由で一気に転落して、再びぼっち生活を送るようになるっていう展開があるかもと一瞬思った(思っただけ)。でも、ここまで幸せな世界を描いてるんだから、「友達なんていらない」なんていうくそくだらねー高二病的な世界観には回収されてほしくはないなー。

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いつのまにか百合ちゃんの話に!!!/海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ(9)』

 

 ぼくが『逃げ恥』の1巻~8巻を読んでこのマンガの虜になったのが、2016年の10月終わりごろ。それから半年弱のあいだに、ドラマが社会現象レベルのヒットになっちゃってびっくり。ぼくはドラマは見てないんだけれど、まあよかったのではないでしょうか。みくり役が新垣結衣なのは未だにちょっとよくわからないんだけど、こういう作品がドラマになるという事自体が社会的意義を持ってると思うので、ちょっとの不満は我慢できる。

で、そのマンガの最終巻なわけだけれども……平匡さんとみくりにキュンキュンきてたぼくとしては、なーんか見えていた用意されたゴールにしゅるしゅると収まった感じで物足りなさはある。マンガの最終巻って基本的にドラマティックな話があるべきだと思っているんだけど、平匡さんとみくりの場合はややこしい問題がわりと解決気味だったので、残った問題も話し合いで解決されちゃう(当たり前だけど、物わかりの良すぎるカップルってドラマを産まないんだねー。物わかりが良すぎるのも考えものかも)。

そのかわりにドラマの役割を担うのは、百合ちゃんと風見だ(だいたい最終巻なのにみくり表紙じゃないのかよ!!!!!)。まあ面倒くささのぶつかり合いみたいな話なんだけど、こっちのほうがもうちょっと一般的な少女漫画っぽいかも。年上好きのぼくとしてはたいへん楽しませてもらいました。

平匡さんとみくりの話から百合ちゃんと風見の話への移行をもっと明確に区切ったほうが、整理がつきやすかったのかなー。8巻にあった風見百合ちゃん回を9巻に持ってきて、みくりの就活とか最終話とかを8巻におさめて、9巻は番外編みたいに扱う、みたいな(『となりの怪物くん』でもそんな感じだったよね)。そこらへんがごっちゃになっているのが、わずかな消化不良感の原因なのかも。

 

なんにせよ、とてもおもしろかったです。完結おめでとうございます。

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木村資生と愛国教育(?)

 

生物進化を考える (岩波新書)

生物進化を考える (岩波新書)

 

 「進化論の通俗的理解」みたいなものに対する興味から、本屋で高校生物の参考書の進化論についての項目を見てみたらびっくり。高校生物って、木村資生の中立進化説扱うのねー。

いやもちろん、木村資生の中立進化説は重大な概念であることは間違いない。中立進化説は、遺伝子の変化による有利不利とその結果としての淘汰の影響が結構小さいのではないか? みたいな議論で、太田朋子の「ほぼ中立説」に発展して現在は進化論の定説の一部となっている。ジョン・メイナード=スミスの啓蒙書『生物学のすすめ』(ちくま学芸文庫)でも木村についてちょっと触れてて、「なんでみんなキムラのこと知らないのー?」みたいなことを言っていたはず。だから、確かに木村の中立進化説は世界的にも有名で影響の大きい説ではある。

でも……率直に言って、中立進化説ってパラダイムシフトレベルの影響力はないんだよね。それは、進化論が最終的に中立進化説をうまく取り込めたことからも明らか。

そして高校生物の参考書をざっとみた限りだと、ドーキンスやハミルトンやメイナード=スミスによる、個体単位から遺伝子単位へのパラダイムシフトについての記述はまったくなし。ドーキンスは学問的に有名な研究ってあまりないからまあ仕方がないとしても、ハミルトンの血縁淘汰説やメイナード=スミスのESSは現代進化論を理解するためには避けては通れない概念のはず。でもなぜか、彼らの研究の話は出てこない。

 

うーん、これがいわゆる愛国教育とやらなんですかねえ。こういう風に進化論の重大な説を省いてまで日本人の素晴らしさを称えるのは、いやはや、美しいですねえ。

 

 

余裕ができたらもうちょっとしっかり検証するかも。

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