伊藤英明の尻と乳首に目を奪われるだけの映画/三池崇史「悪の教典」

悪の教典

悪の教典

 

 原作既読(かなり昔)。ぼくは原作もそこまで面白いとは思わなかったんだけど(特に下巻)、これは原作以上に微妙だなあ。原作は、下巻のギャグまがいのスプラッターはともかく、上巻のじりじりとにじり寄ってくるような嫌らしさはわりとよかったと記憶しているんだけど、この映画の前半だと、あっけなさを感じる場面が多いと思う。もちろんそれは主人公ハスミン(伊藤英明)のサイコパス性とも関係してはいるとは思うんだけど……それでも物足りなさを感じた部分が多い。あと、わりと簡素な演出のためにときどき話のつながりがわからなくなったときも多い。

また、生徒一人ひとりの個性も薄く、途中で誰が誰だかわからずだんだん混乱してくる。その一方で教師陣はやたらとレベルが高く、特にハスミンと気持ち悪い物理教師(吹越満)の二人の存在感は圧倒的。この二人のための映画といっても過言ではないと思う。

 

ところで、この映画はなんでか知らないけど、ハスミンと女生徒(水野絵梨奈)の濡れ場は省略しているのに(原作だと英語の授業しながらセックスをするという迷シーンがあったような……)、ゲイの教師(平岳大)と生徒(林遣都)のフェラシーンはそこそこちゃんと描いている。なんでなんだろうね?

その流れでいうと、やたらと伊藤英明の肉体美を鑑賞できたのは本作のいいところの一つ。もう、伊藤英明が脱ぐたび、綺麗な尻と乳首に目を奪われてしまいましたよ。

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単調なストーリーにやたらハイテンションなゾンビ/ヨン・サンホ「新感染 ファイナル・エクスプレス」

 エンタメとしてはまあまあといったところ。演出はなかなか悪くなく、ちょっとしたホラー要素も楽しめる。そしてキャラクターの個性はとてもきっちり描かれている(役者がすごく頑張ってるから、というのもあるのかもしれないけれど)。

その一方で、ストーリーは極めて単調で意外性もへったくれもない。特に、思わせぶりに描いていた浮浪者らしき人(チェ・グィファ)が結局何なのかさっぱりわからないまま死んでいったのは、なんだそりゃって感じ。前日譚である「ソウル・ステーション/パンデミック」というアニメ映画があるらしいので、そちらで伏線が回収されることに期待はしますが……。

あと、ゾンビたちがやたらハイテンションで、全力ダッシュで追いかけてくるのは、かなり好みがわかれるところだろう。ぼくは最初まったく理解できず、てっきりギャグシーンかと思って笑ってしまった。流石に終盤になってくると慣れるが、とはいってもねえ……。

日数制限がないだけでこんなに別ゲーになるとは/「ピクミン2」

ピクミン2

ピクミン2

 

 1からの1番大きな変更点としては、日数制限がなくなったことが挙げられる。そしてその影響で、他の部分はほとんど変わってないにも関わらず、大きくゲーム性が変化してしまっている。

どのように変わったかというと、トライアンドエラーをくり返すゲームになってしまったのだ。1では、基本的な難易度こそ高いわけではないものの、30日という日数制限の中でどのように効率的にノルマを達成するかという文字通りの「作業ゲー」であった。それが2になると、失敗してもまたピクミンを増やして再挑戦すればいいという、一般的な意味でも「作業ゲー」になってしまった。この緊張感のなさはすさまじい。「ドラゴンボール」で孫悟空が、地球を破壊されてもドラゴンボールで地球人を全員生き返らせる、と言ったときのような緊張感のなさ。

もちろん、1は難易度の高さがライトユーザーから批判されたらしいので、このような変更を加えた、というのはわかるのだが、完全に変更の方法を間違えたように思う。敵を倒しやすくするとか、ピクミンをもっと増やしやすくするとか、難易度を下げる手段はいろいろあったにもかかわらず、これ。個人的にはかなり残念に思った。

 

 

 

 

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入試問題と誤読に学ぶ、ユニークな哲学の入門書/入不二基義『哲学の誤読』

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

 

 「入試問題を素材に使った哲学入門書」というユニークな本。しかもただキワモノを目指した本というわけでもなく、「入試問題」と「誤読」という2つのテーマが、見事に読者を哲学に誘うという目的に貢献している。高校生に限らず、幅広い読者にとって得るものの多い本だと思う。

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「脳トレ」なんかよりこっちのほうがよっぽど脳トレ/「ピクミン」

ピクミン

ピクミン

 

 久々にシビアなゲームをやった。なにがシビアかというと、まずとにかく時間制限がシビア。ピクミンを使って複数の作業を並行してこなす、というのが要求されるため、とにかく脳に負担がかかる。「脳トレ」なんかより「ピクミン」をやったほうがよっぽど脳が活性化するのでは。

アクションとしてもそこそこ難しい部類に入るのでは。プレイヤーの位置だけではなく連れ歩いているピクミンの位置も把握しておかなければいけないので、とにかく操作が忙しくなる。とはいえ、理不尽さからくる難易度ではなく、どちらかというとゲームシステムの複雑さからくる難易度なので、慣れてくるとだんだんこのアクションが好きになる。

欠点らしい欠点もあんまりない。強いて言えばカメラ操作がややしづらいくらい? 完成度の高いゲームだと思う。

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カタツムリに渦巻く進化論の歴史/千葉聡『歌うカタツムリ』

歌うカタツムリ――進化とらせんの物語 (岩波科学ライブラリー)

歌うカタツムリ――進化とらせんの物語 (岩波科学ライブラリー)

 

 「カタツムリ研究の歴史」という、どうみてもニッチにしか見えないようなテーマを扱った本。もちろんぼくも、特別カタツムリに関心があるわけではない。

にもかかわらず、本書は驚きに満ち溢れた本である。というのも、カタツムリ研究の歴史を扱うことは、進化論の歴史を裏面からなぞるようなことだからである。

 

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鳩山由紀夫のスポーツ論文

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

 

 『ヤバい経済学』絡みでもう一つ。レヴィットの大相撲研究のエントリを書くためにいろいろ調べていたところ、たまたまこんなものがあることを知った。

ci.nii.ac.jp

へえー! 鳩山元首相が工学系の出身だというのは知ってたけど、こんな面白そうなことやってたのか! ちなみに論文はpdfで読めます

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