一気にやらずコツコツとやるのがいいのかも/「地球防衛軍4」

 地球防衛軍シリーズは初プレイ。巨大なザコ敵を一気に吹き飛ばす爽快なTPSとしてけっこう楽しい。ただ、90ものステージがあると、さすがにすべてのステージを完全に差別化するのは難しく、既視感のあるステージもちらほら。なので、たぶん1日1ステージみたいな感じであまり一気にやらないほうがいいゲームなのかも。

 

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レフト3.0は左翼の歴史をどう総括するか/松尾匡『新しい左翼入門』

新しい左翼入門―相克の運動史は超えられるか (講談社現代新書)

新しい左翼入門―相克の運動史は超えられるか (講談社現代新書)

 

この本、「新しい左翼」の入門書なのかと思ってたんですよね。松尾匡ってよく「レフト3.0」っていう言葉を使うし、そのレフト3.0にみんな入門しよーよ、という本なのかなと思っていた。ところがこの本は実は、新しい「左翼の入門書」なんですよね。明治〜現在くらいまでの左翼の歴史を、松尾匡(≒レフト3.0)の視点から解釈していく本となっている。

というわけで、変な本といえば変な本。左翼の運動の歴史を「エリート主義」vs「大衆主義」みたいな観点で切り分けていくんだけど、その問題設定自体がかなり松尾匡独自のものなので、刺激的ではあるがあまり学術性はない。その一方で、山本太郎支持がだいぶ盛り上がってきている今、山本太郎みたいなレフト3.0の視点から左翼の歴史はどのようにまとめられるか、というのは有効な情報だろう。とくに、山本太郎にシンパシーは感じるが、少し前までの左翼に拒否感を感じている人に勧めたい。

欠点としては、まず全体を通して使われている「嘉顕の道」「鉄次の道」という言葉が死ぬほどわかりづらい。これはNHK大河ドラマの「獅子の時代」の登場人物から取られているんだけど、普通に(ぼくがまとめたように)「エリート主義」「大衆主義」とかでよかったと思う。あとは、いわゆる「リベラル」についての記述がほぼないというのもなー。もちろん松尾匡的には「リベラル」は左翼ではなく逆右翼なので、対象外と言い張ることはできますが、一般的にはそうではないので……。

無難でキャッチーなディストピア/「PSYCHO-PASS」

#1 犯罪係数

#1 犯罪係数

 

 中核となるアイデアの「犯罪係数」は、衝撃的ってほどではないけど新鮮さはある。ストーリーもまあ無難な感じ。衒学趣味は必要ってほどではないけど、邪魔ってほどでもない。エログロ描写を不自然に誤魔化したりもない。キャラクターはそれなりに魅力的だと思う。まあほどほどによいディストピアSFって感じじゃないでしょうか。

「デッドプールの良さ」はそのまま/デヴィッド・リーチ「デッドプール2」

デッドプール2 (吹替版)

デッドプール2 (吹替版)

 
デッドプール2 (字幕版)

デッドプール2 (字幕版)

 

 微妙。エログロとかメタとか、いわゆる「デッドプールの良さ」といわれているものに関しては前作そのままなので満足。その一方で、唐突にヒロイン殺したり急に超能力持ちの孤児に入れ込んだりと、ストーリーがかなり不自然な印象がした。まあ、デップーなんて頭空っぽにして見ればいいんだよということなんでしょうか……。

文化をグラフ化する本なのにグラフが見づらいのどうにかしてくれ/エレツ・エイデン、ジャン=バティースト・ミシェル『カルチャロミクス』

カルチャロミクス;文化をビッグデータで計測する

カルチャロミクス;文化をビッグデータで計測する

 

 膨大な書籍のテキストデータをビッグデータとして扱い、文化をさまざまな方法で定量的に計測するという研究で、人文科学の研究としてとても面白い試み。著者の研究者としての関心がどこにあるかがいまいちわかりづらく、かなり多くの分野をまたいでいるため、多少とっちらかっている感じはする。その一方でそれは、ビッグデータによる文化研究が「万能酸」のごとき強力さを持っていることのあらわれでもあるので、仕方ないといえば仕方ない気も。

ただ、本の内容とはあまり関係ない部分でかなり困ったのがグラフの見づらさ。この本に掲載されているグラフは、白黒なのになぜか線の種類が同じで、色の微妙な濃さの違いでどの線が何を表すかを区別しなければいけない。一応原書(の電子書籍のサンプル)を見てみたところ、そちらでもそうなっていたので、出版社に罪はなさそうではあるが。いやーでもこのグラフ見て著者らや編集者は何も思わなかったの?? ひー勘弁してくれ。

1番最初にやるか1番最後にやるか/「ファイアーエムブレム Echoes」

 いわゆるFEとは全くの別物である。決定的な違いは、武器消費がないこととダンジョンがあること。この2点のために、リソースと経験値配分を常に気にしながらストーリーを進める、というFEの大きな特徴は失われている。

が、それは必ずしも悪いことではない。なぜなら、そのようなFEの特徴は、FE未経験者がFEをプレイする際の壁でもあるからだ。FE未経験者に「FEっぽいゲーム」をやらせたいのであれば、これほど入りやすいゲームはない。

また普通にFEとしてみたときに、2つの軍を動かすシステムはすごくよかったと思う。単純に2つの軍を動かすのがワクワクするというのもあるが、なにより最終ステージ以外でレギュラー落ちが発生しないというのがいい。暗黒竜とゆるーくつながっているのもよい。

というわけで、普通にいいゲーム。ただしFEの良さとは別の良さがあるゲームなので、FEファンがFEを求めてプレイすると肩透かしを食らうだろう。FE未経験者あるいは他のFEを遊びつくした人が、「FEっぽいゲーム」を求めてプレイすると最高に楽しめるはず。

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白石晃士に慣れているとこの映画を100%楽しめないかも/上田慎一郎「カメラを止めるな!」

カメラを止めるな!

カメラを止めるな!

 

 相当よくできた話で、後半30分に関しては文句のつけようがない。ちゃんと笑いを取りつつ最後にはしっかりハートフル要素も入れてくるので、非常に満足しました。一方中盤30分はけっこうキツくて、あまりにもベタすぎてちょっと見るのやめかけた。

そしてわりと意見が分かれそうなのは前半の30分。ぼくは白石晃士の映画を見まくっていて、B(C?)級クソホラー映画にかなり慣れていたため、前半30分もわりと笑いながら楽しめたんだけど、どうも巷の意見を見てみると、前半30分は違和感だらけらしい。まあ映画を楽しくみれたのはいいことではあるんだけど、一方で後半の驚きが半減されてしまい、映画的な狙いをうまく読み取ることができなかったのは残念である。