統計学は小説を読めるか?/ベン・ブラット『数字が明かす小説の秘密』
数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで
- 作者: ベン・ブラット,坪野圭介
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2018/07/13
- メディア: 単行本
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算数以上データ分析未満の手法を使って小説を分析しましたという本。基本的なスタンスは『カルチャロミクス』に近いが、小説に的を絞って分析をしている分、テーマがはっきりとしている。エッセイとしてもちゃんと面白い。
分析の多角さもよい。小説家のクセからジェンダーまで、さまざまな視点から仮説を検証している。文学作品だけでなく、ベストセラー小説や2次創作小説まで分析の対象に入っているのもよい。また、何でもかんでも単語数を調べるだけだった『カルチャロミクス』とは違って、本の表紙や分量のような、「本」についての分析をしているのもおもしろい。
強いて不満を上げるなら、分析対象が英語圏の小説に限られていることかなあ。まあデータ分析という手法上英語の小説しか扱わないのもしょうがないとは思うんですが、その一方で分析の限界ってこんなもんかあとも思う。せめて翻訳小説を扱っていたらまたちょっと印象は違ったかもしれないんですが……。翻訳者Aが翻訳した作家Xの小説は、翻訳者Aが翻訳した作家Yの小説と、翻訳者Bが翻訳した作家Xの小説のどっちに似てるの? とかいろいろ論点はありそうなもんだし、そこは残念。
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ケン・リュウの中国SFの紹介ってだいぶ偏ってたんじゃ……/郝景芳『郝景芳短篇集』
読んだマンガ(2019/10)
10月に読んだマンガのまとめ。
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10月に読んだ本のまとめ。
続きを読む丸谷才一の嗅覚の鋭さに舌を巻くなど/マイケル・ルイス『マネー・ボール』
マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マイケル・ルイス,中山宥
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/04/10
- メディア: 文庫
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データ分析を駆使して貧乏球団を強いチームに変化させる、という話ですごく面白い。異世界転生モノに片足突っ込んでる。この話の主人公ともいえるゼネラルマネージャーのビリー・ビーンが、「データ分析によって組織を改革する人」の典型的なイメージからはかけ離れているのもポイント。
が、ぼくがこの本を読んで一番驚いたのは、後ろに丸谷才一による書評が載っていること。まさかあの高名な文学者サマが、こんな金と野球とデータの話ばっかりしてるような下品な本をお読みになり、あまつさえ絶賛書評まで書かれるとは。おみそれしました。
読んだマンガ(2019/9)
9月に読んだマンガのまとめ。
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