小説

ここ20年ぐらいのオタクコンテンツの結晶/伴名練『なめらかな世界と、その敵』

なめらかな世界と、その敵 作者: 伴名練,赤坂アカ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/08/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 年刊日本SF傑作選によく載ってるなーという印象が強かった伴名練の短編集で、コアな国内SFファン待望の1冊だろ…

蘇部健一の面白がり方がようやくわかったかも/蘇部健一『六とん2』

六とん2 (講談社文庫) 作者: 蘇部健一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/08/12 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (12件) を見る 一応『六枚のとんかつ』は既読だが、続きを読んでなかったので今更ながら読んだ。で、今まで…

SF作家の不在こそがゼロ年代SFの特徴?/冲方丁ほか『ゼロ年代SF傑作選』

ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA) 作者: S-Fマガジン編集部,秋山瑞人,冲方丁,海猫沢めろん,桜坂洋,新城カズマ,西島大介,長谷敏司,元長柾木 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/02/10 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 3…

アバチュ2ってこういう話だったのね/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(4~5)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/10/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る アバタールチューナー? (クォンタムデビルサーガ) 作者: 五代 ゆう,前田浩孝…

これをゲームにそのまま落とし込むのは難しいよなあ/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(3)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう,前田浩孝 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2011/06/23 メディア: 文庫 クリック: 21回 この商品を含むブログ (12件) を見る 3巻は、ゲームでは必要最低限しか描写されてい…

ジナーナとルーパの扱いがとにかく嬉しい/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(1~2)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう,前田浩孝 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2011/02/18 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 26回 この商品を含むブログ (27件) を見る クォンタムデビルサーガ アバタール…

第9回Twitter文学賞

異セカイ系 (講談社タイガ) 作者: 名倉編 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/08/22 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 20…

作家カタログとしての側面がほしい/ヤロスラフ・オルシャ・jr編『チェコSF短編小説集』

チェコSF短編小説集 (平凡社ライブラリー) 作者: jr.,ヤロスラフオルシャ,jr.,Jaroslav Ol〓a,平野清美 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2018/10/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る チェコで書かれたSF短編小説を集めたアンソロジー。正…

ミステリーの皮を被ったSF、あるいはSF/法月綸太郎『ノックス・マシン』

ノックス・マシン (角川文庫) 作者: 法月綸太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2015/11/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を見る ミステリー作家の法月綸太郎が書いた短編集。しかし、純粋にミステリーと言えるのは1作のみで、残…

単行本で一気に読むべき/木下古栗『人間界の諸相』

人間界の諸相 (単行本) 作者: 木下古栗,愛☆まどんな 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/01/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『生成不純文学』が刊行された時期に、この小説は『小説すばる』で連載されていて、その一部がネットで無料公…

ゼロ年代キャラクター小説の絞り汁/名倉編『異セカイ系』

異セカイ系 (講談社タイガ) 作者: 名倉編 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/08/22 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る まあゼロ年代キャラクター小説の絞り汁みたいな小説で、ちょっとその味の濃さにびっくりしてしまう感じはあり、「ゼ…

粒ぞろいの中国SFアンソロジー/ケン・リュウ編『折りたたみ北京』

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036) 作者: 郝景芳,ケンリュウ,牧野千穂,中原尚哉,大谷真弓,鳴庭真人,古沢嘉通 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/02/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ …

というか円城塔ってこんなに長編少なかったのね/円城塔『エピローグ』

エピローグ (ハヤカワ文庫JA) 作者: 円城塔 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/02/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る この壮大な一冊を読んで、真っ先に思い出したのは円城塔のデビュー作『Self-Reference ENGINE』だ。あれも相当な巨編だ…

何をどう扱おうとも円城塔は円城塔である/円城塔『文字渦』

文字渦 作者: 円城塔 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/07/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る この連作短編集の特徴は2つ。1つはほとんどが文字についての小説だということで、もう1つは和風・中華風だということだ。 前者につい…

ファンサービス満載ではあるんだけど/早坂吝『メーラーデーモンの戦慄』

メーラーデーモンの戦慄 (講談社ノベルス) 作者: 早坂吝 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/09/07 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 上木らいちシリーズの集大成ではある。上木らいちシリーズの過去4作にたびたび言及し、さらにはゲストキャラ…

村田沙耶香の集大成兼寄せ集め/村田沙耶香『地球星人』

地球星人 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/08/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ある意味でこの小説は、村田沙耶香の小説の集大成といえるだろう。この小説には、過去に村田が書いてきたテーマがふんだんに詰め込まれ…

木下古栗と反緊縮

早稲田文学 記録増刊 震災とフィクションの“距離” 作者: 古川日出男,阿部和重,円城塔,川上未映子,福永信,青木淳悟,芳川泰久,重松清,中村文則,村田沙耶香,中森明夫,木下古栗,鹿島田真希,斎藤環,松田青子,牧田真有子,朝吹真理子,篠山紀信 出版社/メーカー: 早…

半自動食人百合物語生成機/矢部嵩『〔少女庭国〕』

〔少女庭国〕 作者: 矢部嵩 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/05/22 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る おもしろい。ポリコレ的には女子中学生という存在を悪い趣味のために弄ぶ創作物なので非常にアレですが、ともかくおもしろ…

リスク分散としてのフェミニズム(と、渡部直己のセクハラ問題)

早稲田文学増刊 女性号 (単行本) 作者: 早稲田文学会 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/09/20 メディア: ムック この商品を含むブログ (3件) を見る 要約 「女性(あるいはフェミニスト)が一体となって抗議する運動」は、「その運動に参加することに…

高度に発達したミステリーはAIと区別がつかない/早坂吝『探偵AIのリアル・ディープラーニング』

探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫) 作者: 早坂吝 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/06/08 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る これはすごい。なにがすごいかというと、「AIが考えた犯罪」と「AIが考えた推理」のそれっぽさが…

二重のパラノイアに取り憑かれたトンデモ奇書/ピエール・バイヤール『アクロイドを殺したのはだれか』

アクロイドを殺したのはだれか 作者: ピエールバイヤール,Pierre Bayard,大浦康介 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2001/09 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (16件) を見る 本書はなかなかの奇書だ。ただそれは、著者ピエール・バイ…

世界はポエムでできている/舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』

ディスコ探偵水曜日(上)(新潮文庫) 作者: 舞城王太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/04/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ディスコ探偵水曜日(中)(新潮文庫) 作者: 舞城王太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/04/29…

行き当たりばったりなシリーズだとようやく気づいた/十文字青『灰と幻想のグリムガル(12)」』

灰と幻想のグリムガル level.12 それはある島と竜を巡る伝説の始まり (オーバーラップ文庫) 作者: 十文字青 出版社/メーカー: オーバーラップ 発売日: 2018/03/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る ひっでえなーこれ。行き当たりばった…

世界観を再利用するとSF書くの楽なのかねー?/長谷敏司『My Humanity』

My Humanity 作者: 長谷敏司 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/10/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (4件) を見る 現在放送中のアニメ「BEATLESS」の原作者・長谷敏司による短編集。どの作品も一定水準以上の短編にはなっており、そのうち…

不条理だけが不条理小説じゃない/石川宗生『半分世界』

半分世界 (創元日本SF叢書) 作者: 石川宗生 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/01/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 不条理小説ではあるんだけど、不条理そのものだけではなく各所に散りばめられたユーモアがかなりおもしろい…

私小説とエッセイのあいだをいったりきたりする奇妙な小説(?)/円城塔『プロローグ』

プロローグ (文春文庫) 作者: 円城塔 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/02/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 話の筋を理解するのは大変むずかしいと思う。そもそも説明少なめのメタフィクションなので、一読でちゃんと話を理解させる気…

第8回Twitter文学賞

ドレス 作者: 藤野可織 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/11/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ソヴィエト・ファンタスチカの歴史 (世界浪曼派) 作者: ルスタム・スヴャトスラーヴォヴィチカーツ,ロマンアルビトマン,Roman Arbitm…

最初は白なのにちょっとずつ黒ずんでいっていつの間にか真っ黒になる短編集/藤野可織『ドレス』

ドレス 作者: 藤野可織 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/11/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 藤野可織の小説の特徴をざっくり言語化するとすれば、「最初は白なのにちょっとずつ黒ずんでいっていつの間にか真っ黒になる小説」と…

純文学版湊かなえ?/今村夏子『あひる』

あひる 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 書肆侃侃房 発売日: 2016/12/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る どの短編も、短くまとまっており、それでいてなかなか破壊力がある。こういう作家は純文学系にはたくさんいそう(村田沙耶香とか藤野…

レーニンやスターリンがソ連SFを発展させた!? 衝撃のソ連文学史/カーツ『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』

ソヴィエト・ファンタスチカの歴史 (世界浪曼派) 作者: ルスタム・スヴャトスラーヴォヴィチカーツ,ロマンアルビトマン,Roman Arbitman,梅村博昭 出版社/メーカー: 共和国 発売日: 2017/06/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る おそらく…