書評

やっぱ女子高生と付き合おうとする先生なんてクズだよね~/やまもり三香『ひるなかの流星(1~12)』

ひるなかの流星 1 (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者: やまもり三香 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2013/01/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る やっぱり、女子高生と付き合おうとする先生なんてクズだと思う。もちろん、2次元のなか…

両手に舞城王太郎を吸い込んでできあがった異形のマンガ/大暮維人、舞城王太郎『バイオーグ・トリニティ(1~14)』

バイオーグ・トリニティ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 作者: 大暮維人,舞城王太郎 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2013/08/19 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (2件) を見る まさに「舞城王太郎のコミカライズ」。愛は祈りだだの世界は密…

世界はポエムでできている/舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』

ディスコ探偵水曜日(上)(新潮文庫) 作者: 舞城王太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/04/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ディスコ探偵水曜日(中)(新潮文庫) 作者: 舞城王太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/04/29…

行き当たりばったりなシリーズだとようやく気づいた/十文字青『灰と幻想のグリムガル(12)」』

灰と幻想のグリムガル level.12 それはある島と竜を巡る伝説の始まり (オーバーラップ文庫) 作者: 十文字青 出版社/メーカー: オーバーラップ 発売日: 2018/03/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る ひっでえなーこれ。行き当たりばった…

世界観を再利用するとSF書くの楽なのかねー?/長谷敏司『My Humanity』

My Humanity 作者: 長谷敏司 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/10/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (4件) を見る 現在放送中のアニメ「BEATLESS」の原作者・長谷敏司による短編集。どの作品も一定水準以上の短編にはなっており、そのうち…

薄味ながら、白と黒のコントラストは圧巻/阿部共実『月曜日の友達(1~2)』

月曜日の友達(1) (ビッグコミックス) 作者: 阿部共実 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2017/09/08 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 正直ストーリーは薄味。いやもちろんだからといってまったくダメなわけではないんだけど、『ちー…

不条理だけが不条理小説じゃない/石川宗生『半分世界』

半分世界 (創元日本SF叢書) 作者: 石川宗生 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/01/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 不条理小説ではあるんだけど、不条理そのものだけではなく各所に散りばめられたユーモアがかなりおもしろい…

私小説とエッセイのあいだをいったりきたりする奇妙な小説(?)/円城塔『プロローグ』

プロローグ (文春文庫) 作者: 円城塔 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/02/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 話の筋を理解するのは大変むずかしいと思う。そもそも説明少なめのメタフィクションなので、一読でちゃんと話を理解させる気…

入試問題と誤読に学ぶ、ユニークな哲学の入門書/入不二基義『哲学の誤読』

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書) 作者: 入不二基義 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2007/12/01 メディア: 新書 購入: 8人 クリック: 95回 この商品を含むブログ (43件) を見る 「入試問題を素材に使った哲学入門書」というユニークな本…

カタツムリに渦巻く進化論の歴史/千葉聡『歌うカタツムリ』

歌うカタツムリ――進化とらせんの物語 (岩波科学ライブラリー) 作者: 千葉聡 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/06/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件) を見る 「カタツムリ研究の歴史」という、どうみてもニッチにしか見…

「ヤバい経済学」で涙ぐんでしまうとは/スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー『超ヤバい経済学』

超ヤバい経済学 作者: スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー,望月衛 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2010/09/23 メディア: 単行本 購入: 13人 クリック: 193回 この商品を含むブログ (58件) を見る 『ヤバい経済学』は、経済…

日本の労働社会のせいで日本は男女不平等なのかもしれない/濱口桂一郎『働く女子の運命』

働く女子の運命 (文春新書) 作者: 濱口桂一郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/01/15 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 日本がたいへん男女不平等な国だと言われているのは、各種ニュースでご存知の通り。先日話題となった、は…

社会人にとっては馴染みの薄い大学図書館の、手際の良い紹介/斉藤道子『首都圏 大学図書館ガイド』

首都圏 大学図書館ガイド オトナの知的空間案内 作者: 斉藤道子 出版社/メーカー: メイツ出版 発売日: 2015/06/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ぼくは一般的な人に比べると本を買うのにかける金額はかなり多いと思うんだけど、それでもウン…

最初は白なのにちょっとずつ黒ずんでいっていつの間にか真っ黒になる短編集/藤野可織『ドレス』

ドレス 作者: 藤野可織 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/11/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 藤野可織の小説の特徴をざっくり言語化するとすれば、「最初は白なのにちょっとずつ黒ずんでいっていつの間にか真っ黒になる小説」と…

良書だが、邦題は誤訳に近いのでは?/ティム・スペクター『ダイエットの科学』

ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く 作者: ティム・スペクター,熊谷玲美 出版社/メーカー: 白揚社 発売日: 2017/04/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 私たちが食べるものが、私たちの健康にどのような影響を与えるの…

純文学版湊かなえ?/今村夏子『あひる』

あひる 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 書肆侃侃房 発売日: 2016/12/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る どの短編も、短くまとまっており、それでいてなかなか破壊力がある。こういう作家は純文学系にはたくさんいそう(村田沙耶香とか藤野…

レーニンやスターリンがソ連SFを発展させた!? 衝撃のソ連文学史/カーツ『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』

ソヴィエト・ファンタスチカの歴史 (世界浪曼派) 作者: ルスタム・スヴャトスラーヴォヴィチカーツ,ロマンアルビトマン,Roman Arbitman,梅村博昭 出版社/メーカー: 共和国 発売日: 2017/06/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る おそらく…

そんなに一生懸命「伊藤計劃以後」を終わらせなくてもいいんじゃないの/赤野工作『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 作者: 赤野工作,石黒正数 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/06/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ぼくは、円城塔がtwitterでこの小説を絶賛してるのを見てこの小説を知った。そして、…

幻想的な不条理ホラーの皮を被った傑作ガール・ミーツ・ガール/矢部嵩『魔女の子供はやってこない』

魔女の子供はやってこない (角川ホラー文庫) 作者: 矢部嵩,小島アジコ 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2013/12/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (11件) を見る 大傑作です。幻想的な不条理ホラーの皮を被りつつ、中身はめちゃめちゃよ…

中二病がこんなに不快だとは/早坂吝『ドローン探偵と世界の終わりの館』

ドローン探偵と世界の終わりの館 作者: 早坂吝 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/07/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ミステリー界の問題児・早坂吝による、ドローンを駆使した長編ミステリー。援交探偵シリーズほどの哲学はないもの…

これぞ「新しい歴史」! 資料調査が覆す荻原重秀の実像/村井淳志『勘定奉行荻原重秀の生涯』

勘定奉行荻原重秀の生涯―新井白石が嫉妬した天才経済官僚 (集英社新書) 作者: 村井淳志 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2007/03/01 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 22回 この商品を含むブログ (22件) を見る はい、圧倒的に面白いです。綿密な資料読…

これ『ロリータ』?/谷崎由依『囚われの島』

囚われの島 作者: 谷崎由依 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/06/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 1章を読み進めているときのワクワク感はすさまじい。幻想文学に蚕を中心としたさまざまなイメージを重ねて重層的にし、フェミニ…

SF的な日本で円満に暮らすっていうこと/円城塔、田辺青蛙『読書で離婚を考えた。』

読書で離婚を考えた。 作者: 円城塔,田辺青蛙 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2017/06/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 小説生成エイリアンこと円城塔とホラー小説家の田辺青蛙の夫婦が、お互いに本を勧め合うというかたちでコミュニケー…

やはりぼくたちに必要なのは実証的・統計的な研究だ/北田暁大ほか『現代ニッポン論壇事情』

現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史 (イースト新書) 作者: 北田暁大,栗原裕一郎,後藤和智 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2017/06/10 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 特にここ最近評判の良くなってきた、松尾匡、ブレイ…

どうしてぼくたちがバカなのかはわかるけど/網谷祐一『理性の起源』

理性の起源: 賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ (河出ブックス 101) 作者: 網谷祐一 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/02/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 副題詐欺。ぼくたちが一見すると「愚かすぎ…

哲学の最前線の手際の良い紹介/岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』

いま世界の哲学者が考えていること 作者: 岡本裕一朗 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2016/09/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (11件) を見る 日本ではまだちゃんと紹介されていないポストモダン以降の哲学を簡潔に紹介…

凡作を通じて過去の読書体験を葬るということ/江波光則『鳥葬』

鳥葬 -まだ人間じゃない- (ガガガ文庫) 作者: 江波光則,くまおり純 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2013/05/17 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (16件) を見る 個人的に、とてもつらい読書体験だった。

「萌えられる異形」を描けるのはえらい/弐瓶勉『シドニアの騎士(1~15)』

シドニアの騎士(1) (アフタヌーンコミックス) 作者: 弐瓶勉 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/04/26 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 全体的にはいまいち。戦闘シーンがかなりわかりづらく、長々としたセリフをいちいち追いかけなが…

舞城王太郎とネットミームと女子高生成分が混ざった、魔術的なJK空間/大澤めぐみ『おにぎりスタッバー』

おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫) 作者: 大澤めぐみ,U35 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2016/12/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る ひゃーーーーー。 舞城王太郎にネットミームと女子高生成分を足したような文体。さすがに…

ファンタスティックかつスプラスティックな推理バトル/森川智喜『キャットフード』

キャットフード (講談社文庫) 作者: 森川智喜 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/09/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (9件) を見る 怪作ってこういう小説のことをいうんだろうな。ファンタスティックかつスプラスティックな、『不思議の国のアリ…