震災必要ですか/園子温「ヒミズ」

 

ヒミズ

ヒミズ

 

 原作未読。東日本大震災による絶望がわりと抽象的なものとして描かれているんだけど、震災と絶望との因果関係がはっきりしない(というか無い?)。だからこの映画のラストで描かれた希望も、現実を生きるぼくたちにとってはあまり意味がない。ヒロイン茶沢景子(二階堂ふみ)の家庭や夜野正造(渡辺哲)の殺人といった問題が全く解決されないのもその傍証。でもその希望っていうのは、震災直後に散々叫ばれた、立ち直ろうっていう希望とあんまり変わらないものであり……。なので見ていて落ち込む。その落ち込み気分は決して悪いものではないのだけれど。

貸しボート屋っていう設定はあんまり機能していないのでは。父親の死体も埋めちゃうし。なんか土掘る系の仕事だったらもうちょいピンときたのかな。

音響が結構印象的。ノイズっぽい音が結構多いんだけど、どれも聞きたくならない範囲で調度良く不快でよかったと思う。