不審者みーくんと壊れた脚本/瀬田なつき「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」

 

 原作をかなり前に既読。わりと好きな作品なのでずーっと映画からは逃げてたんだけど、なんの間違いか見てしまったら……サイアク。

一応ネタバレあるけど、別にいいよね。

 

 

すごい意外なことに、まーちゃん(大政絢)は(三次元補正がかかってしまうことを除けば)わりといい。まーちゃんって外面のよさと家の中での壊れっぷりを両立しなきゃいけないのでめちゃくちゃ難しいキャラクターだと思うんだけど、結構頑張ってると思った。もちろん原作のまーちゃんにはかないませんが、実写だし。

けど、みーくん(染谷将太)は見るに耐えない。演技が下手とかじゃなくて、ディレクションに忠実に従った結果だとは思うんだけど。

最初のストーカーシーンから普通の不審者にしか見えなくて、原作の不審者スレスレナルシズム全開で中二心をくすぐるみーくん像はどこにもなく、思わず「壊れたみーくんだっけ」と思ってしまうほど。これが「名キャラだけど脇役」なら許せるんだけど、主人公だからね……(とかいいながら上社奈月(田畑智子)がなぜかおばさん化していることにぶち切れたけどね!!!)(でも慣れると上社もこれはこれでありに見えてくるから不思議だ)。

 

演出とか設定改変とかもかなり意味不明で、ことごとくスベってる感がすさまじい。そこそこシリアスな場面での「嘘だけど」がなんでこんなバカっぽい魅せ方なのか。教室でのキスシーンもみーくんが学校に行ってない設定になっているせいで支離滅裂にもほどがある(これって漫画版もだっけ?)。関心したのは「××」ってセリフの隠し方ぐらい。

あと、みーくんVS道真(宇治清高)シーンでのプチ叙述トリックをばっさりカットしたのは流石に驚いた! あのシーンから叙述トリック抜いたらなんのカタルシスもないじゃない。いやまあ確かに映像化難しそうではあるけれども……。

 

不満点多すぎる上に褒めるべきところもあんまりなくて指摘しきれない。役者が悪いわけではないので、非常に残念。

この映画を見てぼくはひどくトラウマを植えつけられてしまいました。原作読んだことあるラノベ・アニメ・漫画実写化モノはもう見ません。

 

 

ただ。ぼくが原作最後に読んだのって5年ぐらい前なんだよね。過度に原作を理想化している可能性はある。なので、ぼくのこの評価も不当なものかもしれない。原作読みなおそうかなあ。