ファンタスティックかつスプラスティックな推理バトル/森川智喜『キャットフード』

 

キャットフード (講談社文庫)

キャットフード (講談社文庫)

 

怪作ってこういう小説のことをいうんだろうな。ファンタスティックかつスプラスティックな、『不思議の国のアリス』みたいな世界観の中で、二人の探偵が全力で暴れまわる。特に敵役である三途川理の書き方がかなりイカれててすばらしい。独特なルールを使った、他の推理小説ではありそうにないストーリー展開も魅力的。『注文の多い料理店』オマージュも、ミステリーそのものにはあまり絡まないけど、雰囲気を出すのにうまく貢献している。文章が下手という意見をネットでちらほら見かけるけど、あまり気にならないような。

ただ、オチの解説がさすがにちょっと足りなすぎる気はする。麻耶雄嵩の解説もネットもなければ結構ちんぷんかんぷんになってしまうかも。あとまあ、この表紙と題名で猫好きが釣られるということもありそうだけど、そういう人たちにとってはショッキングだろう。が、ぼくには関係ありませーん。

 

どうでもいいんだけど、もうひとりの主人公とでもいうべき猫のプルート、そこはかとなくエロチックじゃありません? とてもいいとおもいます。