巧みな構成から巨大なしんどさ/是枝裕和「そして父になる」

 

そして父になる

そして父になる

 

 とにかく巧み。よく練られた構成で、至るところに伏線が張り巡らされており、おかげで感心しっぱなし。

しかしこれ、いくらなんでもしんどくないですか? 野々宮(福山雅治)の斎木(リリー・フランキー)に対する目線がいちいちつらく、前半はとてもつらかった。社会階級の違いの表現もこれまたよく練られており、だからこそつらさ倍増。

それは個人的な問題なのかもしれない。ぼくは最近社会階級とか貧困とかも気になるようになってきているので、センサーが過剰に反応してしまっただけかもしれない。いずれにせよ結果として、ラストのカタルシスを前半のつらさが上回ってしまい、ひたすらしんどさが残ってしまった。もちろんそのしんどさは、良いものではあるのだけど。