低予算ホラーをここまで昇華させるとは!/白石晃士「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版」

 

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!  史上最恐の劇場版 [DVD]

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 超壮大な話になっていて驚き。最初は低予算ホラーだったのに、そこに精神異常・戦争・暴力・タイムスリップ・親子の運命・怪獣など、数え切れないほどの要素がこれでもかというぐらい詰め込まれており、なおかつそれがたった80分にまとめられている。シリーズモノとはいえ、この濃厚さはものすごく貴重。さらに恐ろしいことにこの作品では、過去の「コワすぎ!」シリーズ に出てきた伏線を一気に回収しにかかる(一部回収されない伏線はあるんだけれど)。その綿密に練られたストーリー展開に、珍しく涙してしまった。

 ところで、悪者サイドに電力会社(おそらく東京電力)が出てくるの、3.11以後だからですよねえ。そう思ってみてみると、科学者斎藤(金子二郎)の「想定内」連呼は御用学者のようにも見える。まあ政治性を気にする人は気になるかもね。ぼくは好きです。