面白かった本(2017/12)

12月に読んで面白かった本のまとめ。

 

 長山靖生『日本SF精神史』(河出ブックス)
日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)

日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)

 

 第2次世界大戦以前の日本のSFといわれると、一般的にはせいぜい海野十三とかを思い出すのが精一杯だと思うんだけど、それ以外にもいろいろなところに戦前のSF精神があるんだよ、という本。もうこのテーマを扱った時点で面白い本であることは間違いないと思う。

なお、その続編ともいえる『戦後SF事件史』(河出ブックス)は、東日本大震災のショックで変になったのか、SF的想像力を強引に震災と結びつけようとして失敗しているので、あまりおすすめできない(それでも、年表としての価値はまああるといえばあるけど)。

 

森下達『怪獣から読む戦後ポピュラー・カルチャー』(青弓社

 なぜオタクは政治的な話が作品と絡められるのを嫌うのか、という問いに対する答えがきちんと実証されていて面白い。とくにここ最近は、与野党を問わず政治のダメっぷりがいろいろと取り上げられるのに、「シン・ゴジラ」を政治と絡めた読解が、それが政治的であるという理由で叩かれたり、「文豪とアルケミスト」の影響で小林多喜二が読まれるようになったことを取り上げたしんぶん赤旗に、「小林多喜二の政治利用だ」とマヌケな文句をつけた人がいたりと、オタクが政治的な話を作品と絡められるのを嫌っている光景を随分目にしてきているので、いろいろと腑に落ちることが多い。

 

 今村夏子『あひる』(書肆侃侃房)
あひる

あひる

 

 イヤミスにもちょっと似たような純文学の短編集。詳細はここ

 

鎌池和馬『新約 とある魔術の禁書目録(18~19)』(電撃文庫

 まあおもしろいが、なんでもかんでも美少女化してしまうのはどうかと……。

 

 姫乃たま『職業としての地下アイドル』(朝日新書
職業としての地下アイドル (朝日新書)

職業としての地下アイドル (朝日新書)

 

 「職業としての」というタイトルには違和感あり。どちらかというと、「実存としての」とかじゃないのかなー。でもおもしろいです。

 

 渡航やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(12)』(ガガガ文庫

 に、2年間開けてこれですかあ……。まあいいんじゃないでしょうか。