村田沙耶香の脳内を見せてくれる貴重な本/村田沙耶香『となりの脳世界』

となりの脳世界

となりの脳世界

 

 村田沙耶香は、何を考えているのかだいぶわかりづらい人間だと思う。テレビとかに出ていてもすごく無害そうな表情をしているくせに、普段小説で書いているようなかなり際どい発言をしたりしているのをみると、「これはキャラなのか? それとも素なのか?」と思ってしまうのも仕方ないだろう。

そんな村田沙耶香の脳の中身(の一部)を見せてくれるのが、このエッセイ集だ。小説とノリはあまり変わらないといえば変わらないんだけど、村田の小説って(特に初期は)けっこう似たような話が多いので、エッセイという形式だと新鮮に読める。あとまあ、けっこう友人とでかけたエピソードなんかもあって、意外と真人間やってるんだなというのが逆に驚きでもあった。

またファンアイテムとしては、小説の元ネタエピソードなんかもちらほら見え隠れする。コンビニの話とか習字教室の話とかがそれだ。そこら辺を踏まえると、村田ファンであればあるほど楽しめる本だと思う。もちろん村田沙耶香がどんな人間か全く知らなくても楽しめますが。

 

地球星人

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