6月に読んだ本のまとめ。
(面白くなかった本についても感想を書くことが多くなったことに気がついたため、記事のタイトルとカテゴリーを変更しました。過去の記事についてはカテゴリーのみ変更しました)
H・G・ウェルズ『タイム・マシン 他九篇』(岩波文庫、1991年)
全体的にはさすがに古さを感じる。ただ「奇蹟を起こした男」は一種のメタフィクションとして読めてちょとおもろかった。
羽田圭介『黒冷水』(河出文庫、2005年)
羽田圭介のデビュー作。17歳のときに書いた小説のくせに、メタフィクション的な技術がそこそこ洗練されていて憎たらしい。
蘇部健一『六とん2』(講談社文庫、2008年)
どちらかというと悪い意味でゴミだが、「最後の事件」のように読むべきものもある。詳細はここ。
矢部嵩『紗央里ちゃんの家』(角川ホラー文庫、2008年)
本筋自体はC級ホラーって感じなんだけど、ところどころで土星人がどうとかみたいな話が、なんの脈絡もなく出てくるのが不思議な感じ。
米澤穂信『満願』(新潮文庫、2017年)
うーん悪い意味で米澤穂信っぽく、キャラクター小説じゃないのに登場人物(とくに女性)がテンプレっぽくて引っかかる。「夜警」がいちばんよかった。
鴻池留衣『ジャップ・ン・ロール・ヒーロー』(新潮社、2019年)
ウィキペディアの記事という体裁の小説で、その構造がテキストをリアルタイムに侵食していっている感じはわりと新鮮。ただまあ見どころがそれくらいしかないという問題も。
舞城王太郎『イキルキス』(講談社文庫、2014年)
全体的によくわかんない。雰囲気はいい。
栗原裕一郎『村上春樹論の終焉』(Amazon、2018年)
こりゃー雪かきだ。村上春樹の語られ方が文壇の写し鏡になっているようでおもしろい。
廣瀬雅代ほか『サンプリングって何だろう』(岩波科学ライブラリー、2018年)
サンプリングって何だろう――統計を使って全体を知る方法 (岩波科学ライブラリー)
- 作者: 廣瀬雅代,稲垣佑典,深谷肇一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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1章はサンプリングを子供向けに説明したものを、もうすこし詳しくしたもの。わかりやすいはわかりやすいがかなり初歩的でもある。
2章は社会調査におけるサンプリング、3章は生態調査におけるサンプリングを簡単に解説したもの。いかにして優れたサンプリングを行うかという苦労がにじみ出てきていて、こちらはすごく面白い。