雰囲気ゲーこそ操作性の良さが必要なのでは/「ワンダと巨像」

【PS4】ワンダと巨像

【PS4】ワンダと巨像

  • 発売日: 2018/02/08
  • メディア: Video Game
あまり他に例のないゲーム性に加え、UIのゲームっぽい要素を極力排して雰囲気作りを徹底しているゲーム。なんだが、操作性の微妙さに雰囲気をぶち壊されたという印象が強い。まあもっさり感のある操作性についてはリアリティの追求ということでいいと思うんだけど、異様に操作しづらいカメラとかは邪魔なだけ。やはり雰囲気ゲーであっても、いやだからこそ、プレイの快適さは重要だと思うんだよなー。

保険会社視点の保険金殺人モノって珍しいかも/貴志祐介『黒い家』

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

貴志祐介日本ホラー小説大賞受賞作。何よりも、保険会社の視点から保険金殺人モノを書くというのが面白い。貴志は保険会社に勤めていたようなので、そこのディティールがしっかりしていたのがよかった。犯罪率が近年上がっているだとか、だいぶ胡散臭い通俗心理学だとか環境ホルモンだとか、いろいろと難のある部分はあるが、書かれたのが1997年なのでしょうがないといえばしょうがない。主人公と犯人との対決を描く圧倒的な筆力があるので、説明がガバガバでもまあ許せてしまうというのは『悪の教典』とも同じかも。

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アクションとしてはそこそこ、アドベンチャーとしては傑作/「スーパーメトロイド」

アクションとしてはそこそこ、アドベンチャーとしては傑作という感じで、マップを調べてちょっとずつ範囲を広げていくのがとても楽しい。隠し部屋などのヒントの出し方が絶妙で、探索欲を非常にそそられる。アクションゲームとしてはわりと大味な気がするのはご愛嬌。

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「デモクラシーの一概にはいえなさ」をそのまま書籍化した奇妙な本/杉田敦『デモクラシーの論じ方』

デモクラシーとはどのようなものか、というのは、思慮深い人であればまあ一概には答えられない疑問だと思う。本書は、そのような「デモクラシーの一概にはいえなさ」というものをそのまま保存して書籍化した、奇妙な本である。対話形式という形式は、(わかりやすさのために対話形式をとる軽薄な本と違って)その「一概にはいえなさ」を表現するために最大限に活かされている。結局結論が出ない本なのであまりスッキリとはしないが、一市民として民主主義に真面目に向き合いたい人にはおすすめ。

文句をつけるとすれば、対話をする人物をAさんとBさんにしたのは可読性を下げていると思う。名前がついていればどっちが喋っているのかがよりわかりやすくなったんじゃないのかなー。