「作者の死」の死

要約

「作者の死」でバルトは「作者」を時代の産物としているが、そうであれば時代の変化により「作者」が復活する可能性がある。そして現代では、インターネットによって「作者」の存在が強化されるのではないか。

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一人の作家の小説を読むということ/栗原裕一郎、豊崎由美『石原慎太郎を読んでみた』

特に栗原裕一郎の労力には脱帽。わざわざ石原慎太郎なんかのために国会図書館に通い詰めて、全集から埋もれた名作や駄作まで、丹念に一人の作家と向き合うというのはとんでもなく大変なことだろう。一人の作家の小説を読むという行為はこういうことなんだなあ、というのがひしひしと伝わってくる、栗原・豊崎による、さまざまな方面に対して忖度のない評価も非常に参考になる。たいへん誠実な労作です。

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ジュブナイル文体でも森川の世界観は隠せない/森川智喜『踊る人形』

森川智喜の「三途川理シリーズ」の3作目。今作のもっとも大きな特徴は、ジュブナイルミステリーのような文体だろう。本気でジュブナイルを書きたいわけではないというのはストーリーのブラックさからも伺えるわけで、それにも関わらず、少年探偵団が登場するという理由できっちり文体を合わせてくるのは、森川の器用さの賜物だろう。また、ジュブナイルっぽいノリから森川の世界観に移行する意外性もある。

とはいえ、ミステリーとしてみると全体的には微妙。最後の最後の大オチはまあそこそこといった感じではあるが、細かいトリックのレベルがなぜかジュブナイルミステリーレベルまでに落ちてしまっており序盤~中盤があまりおもしろくない。意外とジュブナイルの文体というのもトリックのレベルと不可分だったりするのだろうか。

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ポケモンDPtのライバルと、ムクホークのかげぶんしん

ポケモンDPtのライバルは、元々はお調子者だが、ギンガ団のジュピターに敗北したことをきっかけに成長して、やや落ち着いた人間になった。そのような心境の変化が、ムクホークに覚えさせている技とリンクしているのではないか。

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フロム製RPGの最高傑作/「ダークソウル3」

1とか2に比べるとだいぶ爽快さが増していていい感じ。まあ正直「Bloodborne」とか「SEKIRO」と比べてしまうと微妙な点もあるが、装備などを変えてビルドを楽しむという部分については唯一無二の魅力があると思う。いい意味でRPGとしてよくできている。シリーズでよくいた理不尽なボスがまあまあ抑えめなのもポイント高い。

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