原作が足を引っ張るってどーゆーこと?/及川拓郎「僕は友達が少ない」

 

僕は友達が少ない

僕は友達が少ない

 

 

やっぱりダメな映画であることには違いないんだけど、そのダメな部分のほとんどが原作のラノベ的な要素に由来しているので余計にがっかり。ちなみにぼくは、原作は途中まで読んでそこから読むのをやめた。たしか8巻あたり。

 

この映画のいいところは後半のオリジナルストーリー。原作にもあったVRのゲーム「ロマンシング・佐賀」をやると、そのなかに理想の学園生活があるから、だんだんとその魅力に抗えなくなってきて……っていう話なんだけど、これが結構面白い。ラストの殴り合いやら歌やらが安っぽいのでそこはポイント失点だけど、それでもゲームのNPCの独特の気持ち悪さとか、悪くないと思う。

あとメインキャストも褒めてもいい。夜空(北乃きい)はまあまあ再現がんばってたし(あと北乃きいの太ももすばらしい!!!)、小鷹(瀬戸康史)は原作とはキャラ違うけど、コミュ障っぽさをかなりうまく表現していてむしろこっちのほうがいい。ここは予想外に楽しめた。

 

しかし、あとはダメダメ。まず、(特に前半)キャラクターのリアリティレベルがラノベ的リアリズムにあわせられていて、それが映画的なリアリズムにまったくあわない。とくに理科のイカレっぷりは悪い意味で見ていてとてもキツい。あといたるところにある水着の女の子とか胸の谷間とかパンツのカットもひたすら痛々しいだけ。

面白いのが(いや面白くないんだけど)、オリジナルキャラクターである生徒会長・西園寺(栗原類)も、リアリティレベルがラノベ的なリアリズムにあわせられているところ。ラストシーンは意外と怪演だったと思うけど、前半はやっぱり違和感ありまくりですねえ。あとその横にいた常時ブラジャー丸出しの女の子は何だったんだ。

前半のストーリーも平坦でひたすらダレるだけ。とりあえず隣人部の7人が揃わないと話が進まずオリジナルストーリーに持っていけないのはまあそのとおりではあるんだけど、隣人部の加入シーンを原作に即しつつひたすら事務的に処理しているので、面白みもクソもない(小鳩は違うけど)。

 

というわけで、見どころもあるけどとにかく前半がダメなのでかなりダメ映画ではある。が……そもそもなんでこんなちぐはぐな映画になってるんだっけ?

それはたぶん、ラノベ原作が足かせになってるのが原因だと思う。原作者の平坂読は「原作に縛られずにやってほしい」みたいなことを言ってたはずだけど、思いっきり縛られててかなしい。いっそ幸村・小鳩・マリアあたりをリストラして、生徒会長をもうちょいふつーのキャラにして、ちょっとリアルな感じに演出すれば、わりと見れる映画になったのでは……?

というところまで考えると、そもそもラノベ『はがない』の映画化をつくる必要は? という根源的な問題にぶち当たってしまって頭を抱える。いやさー、たしかにラノベ『はがない』の映画化は不必要な気はするんだけど、先述した「ラノベの足かせのなくなったはがない」という映画はあっていいと思うし、その成立にはラノベ『はがない』の映画化という企画が前提になってるんだよなー。うーむ、日本映画業界の闇を垣間見た気が……。