いつのまにか百合ちゃんの話に!!!/海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ(9)』

 

 ぼくが『逃げ恥』の1巻~8巻を読んでこのマンガの虜になったのが、2016年の10月終わりごろ。それから半年弱のあいだに、ドラマが社会現象レベルのヒットになっちゃってびっくり。ぼくはドラマは見てないんだけれど、まあよかったのではないでしょうか。みくり役が新垣結衣なのは未だにちょっとよくわからないんだけど、こういう作品がドラマになるという事自体が社会的意義を持ってると思うので、ちょっとの不満は我慢できる。

で、そのマンガの最終巻なわけだけれども……平匡さんとみくりにキュンキュンきてたぼくとしては、なーんか見えていた用意されたゴールにしゅるしゅると収まった感じで物足りなさはある。マンガの最終巻って基本的にドラマティックな話があるべきだと思っているんだけど、平匡さんとみくりの場合はややこしい問題がわりと解決気味だったので、残った問題も話し合いで解決されちゃう(当たり前だけど、物わかりの良すぎるカップルってドラマを産まないんだねー。物わかりが良すぎるのも考えものかも)。

そのかわりにドラマの役割を担うのは、百合ちゃんと風見だ(だいたい最終巻なのにみくり表紙じゃないのかよ!!!!!)。まあ面倒くささのぶつかり合いみたいな話なんだけど、こっちのほうがもうちょっと一般的な少女漫画っぽいかも。年上好きのぼくとしてはたいへん楽しませてもらいました。

平匡さんとみくりの話から百合ちゃんと風見の話への移行をもっと明確に区切ったほうが、整理がつきやすかったのかなー。8巻にあった風見百合ちゃん回を9巻に持ってきて、みくりの就活とか最終話とかを8巻におさめて、9巻は番外編みたいに扱う、みたいな(『となりの怪物くん』でもそんな感じだったよね)。そこらへんがごっちゃになっているのが、わずかな消化不良感の原因なのかも。

 

なんにせよ、とてもおもしろかったです。完結おめでとうございます。