これぞ正統派!(?) 「コワすぎ!」の真骨頂はここから/白石晃士「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-03【人喰い河童伝説】」

 

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-03 人喰い河童伝説 [DVD]

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「コワすぎ!」シリーズ1作目の「口裂け女捕獲作戦」と2作目の「震える幽霊」は、もちろん見どころのある映画ではあるものの、その一方でシリーズの初期作特有の、シリーズ自体の方向性の定まらなさがあったように感じた。なので、いかにも「コワすぎ!」っぽい話が展開されるのは、3作目の「人喰い河童伝説」からだとぼくは思う。

最初はあまり面白くないホラー系のモニュメンタリーなのが、工藤(大迫茂生)の強引さによって幽霊との対決という流れになり、そこに相談者の真剣さやうさんくさい霊媒師も加わり、最終的には工藤が暴力で幽霊を退治するものの、最後はバッドエンド、という「コワすぎ!」の王道パターンが、きれいに確立されている。そしてぼくは、このパターンはオーソドックスなプロットを辿った結果なのだと思う。そういう優等生的だがありがちなプロットに、白石晃士特有のミーム(幽霊、モニュメンタリー、暴力、霊媒師etc...)をこれでもかとぶち込むと、正統派な「コワすぎ!」、というなんだか自家撞着したような作品ができあがるのだ(ほめてます)。

あと気づいたのは、「口裂け女捕獲作戦」や「震える幽霊」では弱かった、「少年漫画的な熱さ」が、この「人喰い河童伝説」には存在する、ということ。そしてこの少年漫画的な熱さは、その後の「コワすぎ!」シリーズにも引き継がれている。この熱さも「コワすぎ!」シリーズの魅力の一つかもしれない。