前半のコメディ部分が真の見所/ダグ・リーマン「オール・ユー・ニード・イズ・キル」

 原作既読。なので、終盤の展開は正直いまいち。原作の終盤の展開もあれはあれでご都合主義的なバッドエンドだが、だからといってご都合主義的なハッピーエンドをされても……。あと、「All You Need Is Kill」というタイトルは、原作のバッドエンドの中で意味がわかるようになっていた(と記憶している)が、このハッピーエンドだと「オール・ユー・ニード・イズ・キル」というタイトルはあまり意味がないのでは?(と思ってたら、原題は "Edge of Tomorrow" っていうんだね。これはいいタイトルだと思う)

が、びっくりしたのは、前半のほうが主人公ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)を徹底的にいじめ倒すブラックコメディみたいになっているところ。あのトム・クルーズがすごく弱そうな顔をしながら殺され続けるシーンの連続は意外性があり、かなり楽しめた。ついでにいうと、最初はひ弱な「トム・クルーズらしからぬトム・クルーズ」が、ループの中で「いつものトム・クルーズ」になるというのは、メタ的な意味でも面白い。