鳩山由紀夫のスポーツ論文
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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『ヤバい経済学』絡みでもう一つ。レヴィットの大相撲研究のエントリを書くためにいろいろ調べていたところ、たまたまこんなものがあることを知った。
へえー! 鳩山元首相が工学系の出身だというのは知ってたけど、こんな面白そうなことやってたのか! ちなみに論文はpdfで読めます。
論文内容はわりと面白く、スポーツの試合形式をモデル化して、そこからその試合形式がどのように不公平か、そしてどう形式をいじれば公平になるかを示したもの。紙の上だけの話ではなく、ちゃんと実際のデータもいろいろ調べてくるので、それなりに説得力はある。
そして大変興味深いのは、レヴィットの大相撲研究で有名となった「7勝7敗の力士と8勝6敗の力士が対戦すると、前者の勝率は8割に達する」という事実について、この論文でも触れられているということ。
これまで試合形式に関して,標準的なモデルをたてて議論を進めてきたが,スポ一ツはこのような当たり障りのないモデルで分が存在するところに面白さがあるのかも知れない.咋年1年間に7勝7敗で千秋楽を迎えた幕内力士は35人いたが,何人勝ち越したかご存知だろうか.実に28人である.今年もその傾向は続いている.すなわち,瀬戸際の力土は並外れて「強く」なるのであり簡単な算術モデルでは及びもつかないのである.(宮川雅巳、鳩山由紀夫「強さと試合形式の合理性」『オペレーションズ・リサーチ:経営の科学』25巻10号、1980年、p.657)
レヴィットと違い、そのような事実を「瀬戸際の強さ」と捉え、八百長を微塵も疑わないのが、鳩山元首相らしいといえばらしいが……。