世の中の大多数の人は妄想オチを嫌っている(はず)。妄想がセーフならなんでもありじゃねえかとか、いろいろな批判方法はあると思うのだけど、それらの根底には共通する意識がある。それは、妄想というパターンが何かを表現するための手段ではなく、目的となってしまっているという問題だろう。
本作は珍しく、その問題をうまく回避している。ネタバ本作で登場する妄想は、明確な手段として存分に活かされている。これくらいうまくできた妄想って『ぼくは麻理のなか』ぐらいしかぼくは挙げられない。
- 作者: ジョゼサラマーゴ,Jos´e Saramago,阿部孝次
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 単行本
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