理不尽な暴力にさらされるだけの映画/ミヒャエル・ハネケ「ファニーゲーム」

ファニーゲーム [DVD]

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最初から最後まで何がやりたいのかよくわからなかった。主人公一家を極めて理不尽な暴力が襲うんだけど、それで終わり。悪い意味で変な映画だと思う。

 また、いくつかのメタ演出もあまりうまくない。とくに巻き戻しの部分にはほんとうにがっかりした。ハネケの他の作品でぼくが唯一観たことのある「隠された記憶」ではメタ演出がわりとうまくハマっていたと思うんだけど、「ファニーゲーム」はダメな部類に入ると思う。メタ演出のためのメタ演出が面白いわけがないのだ。

唯一良かったのは中盤の長回しシーン。子供が殺された悲しみが、淡々とした長回しによってこの上ないぐらい強調されており、このシーンだけは見入ってしまった。