王道と思いきや変化球バンバン投げてくる/森下suu『日々蝶々(1~12)』

日々蝶々 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

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 基本的には、まともに男と喋れない女の子とまともに女と喋れない男の子による、王道少女漫画ではある。展開のスピードに緩急がかなりあって、のんびり進んでたと思ったらいきなり急に時間がとんだりするんだけど、主人公と相手役の関係はまあ普通の範囲内ではあるはず。

ただ、王道だなーって読んでると突然不意をついたように意外な展開がやってくる。とくにびっくりしたのは、主人公の友達の清水あやがけっこう初期のころからフラグを立ててたのに、最後の方まで引っ張った挙げ句フラれて終わるという展開と、最初は面倒見のいい無害な先輩っぽい雰囲気で登場した後平が、これまた最後の方でいきなりライバル男に変貌するっていうところ。王道と思いきや変化球バンバン投げてくるので、かなりへえ~~って思いながら最後まで読めた。少女漫画って特殊な展開を作るときは、設定をすごく変なものにして魔球投げてくるイメージがあったので、カーブやフォークをちゃんと投げてくる作品は貴重なんじゃないかと思う。