面白かった本(2019/3)

3月に読んで面白かった本のまとめ。

 

 井上章一『大阪的』(幻冬舎新書、2018年)

 大阪をキーワードにしたメディア論。新聞連載ということもありかなり話題が散漫なのが残念だが、少し詳しく調べたら相当面白くなりそう。

 

斎藤美奈子『日本の同時代小説』(岩波新書、2018年)
日本の同時代小説 (岩波新書)

日本の同時代小説 (岩波新書)

 

 いかにも最近の斎藤美奈子然とした本。赤木智弘に同情的だったり、飯田一史の震災後文学批判にやや肯定的だったりとか。新本格ミステリー絡みの小説家がごっそり抜け落ちているなど、明確な欠点もあるにはありますが、狭義の現代純文学史としてはかなりいい線いってると思う。

 

勝間和代『勝間式 食事ハック』(宝島社、2018年)
勝間式 食事ハック

勝間式 食事ハック

 

 「まずキッチンの広い家と20万円を用意してください」みたいな向きがあって、けっこうハードルが高い。悪い本ではないんだが……。

 

中村圭志『教養としての宗教入門』(中公新書、2014年)

 宗教入門と(比較)宗教学入門の中間にある感じで、いまいちどう読めばいいかわからん。コンパクトで手軽にまとまってはいる。

 

 上田岳弘『ニムロッド』(講談社、2019年)
第160回芥川賞受賞 ニムロッド

第160回芥川賞受賞 ニムロッド

 

 上田岳弘の芥川賞受賞作。ビットコイン小説っていうかインターネット小説だなあと。ハッタリが効いてて面白いといえば面白い。

 

寺尾隆吉『魔術的リアリズム』(水声社、2012年)
魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)

魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)

 

 「魔術的リアリズム」をキーワードに、ラテンアメリカ文学について語る本。なんだが、ボルヘス、カサーレスコルタサルなどラプラタ系の作家や、リョサカブレラ・インファンテなどの紹介が薄いこともあり、ブックガイドとしてはだいぶバランスが悪い印象(同じく寺尾著の『ラテンアメリカ文学入門』のほうがいい)。それだったらせめて、専門外でもいいから「ラテンアメリカ以外の魔術的リアリズム作家」についての章もほしかった。『百年の孤独』『夜のみだらな鳥』『精霊たちの家』などについての詳しい読解があるので、そこらへんを読みたい人におすすめ。