3月に読んで面白かった本のまとめ。
井上章一『大阪的』(幻冬舎新書、2018年)
大阪をキーワードにしたメディア論。新聞連載ということもありかなり話題が散漫なのが残念だが、少し詳しく調べたら相当面白くなりそう。
斎藤美奈子『日本の同時代小説』(岩波新書、2018年)
いかにも最近の斎藤美奈子然とした本。赤木智弘に同情的だったり、飯田一史の震災後文学批判にやや肯定的だったりとか。新本格ミステリー絡みの小説家がごっそり抜け落ちているなど、明確な欠点もあるにはありますが、狭義の現代純文学史としてはかなりいい線いってると思う。
勝間和代『勝間式 食事ハック』(宝島社、2018年)
「まずキッチンの広い家と20万円を用意してください」みたいな向きがあって、けっこうハードルが高い。悪い本ではないんだが……。
中村圭志『教養としての宗教入門』(中公新書、2014年)
教養としての宗教入門 - 基礎から学べる信仰と文化 (中公新書)
- 作者: 中村圭志
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/11/21
- メディア: 新書
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宗教入門と(比較)宗教学入門の中間にある感じで、いまいちどう読めばいいかわからん。コンパクトで手軽にまとまってはいる。
上田岳弘『ニムロッド』(講談社、2019年)
上田岳弘の芥川賞受賞作。ビットコイン小説っていうかインターネット小説だなあと。ハッタリが効いてて面白いといえば面白い。
寺尾隆吉『魔術的リアリズム』(水声社、2012年)
魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)
- 作者: 寺尾隆吉
- 出版社/メーカー: 水声社
- 発売日: 2012/10
- メディア: 単行本
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「魔術的リアリズム」をキーワードに、ラテンアメリカ文学について語る本。なんだが、ボルヘス、カサーレス、コルタサルなどラプラタ系の作家や、リョサやカブレラ・インファンテなどの紹介が薄いこともあり、ブックガイドとしてはだいぶバランスが悪い印象(同じく寺尾著の『ラテンアメリカ文学入門』のほうがいい)。それだったらせめて、専門外でもいいから「ラテンアメリカ以外の魔術的リアリズム作家」についての章もほしかった。『百年の孤独』、『夜のみだらな鳥』、『精霊たちの家』などについての詳しい読解があるので、そこらへんを読みたい人におすすめ。