これをゲームにそのまま落とし込むのは難しいよなあ/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(3)』
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 五代ゆう,前田浩孝
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: 文庫
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3巻は、ゲームでは必要最低限しか描写されていない現実世界での過去の出来事を、かなり詳しく描いている。一応「That's catch 22」という短編小説がアバチュ1の攻略本に載っており、そこでも同じ部分を描いているらしいが未読。あとで読み比べたいなー。
全体としては、多くの良いところとちょっとした不満点がある感じ。主に不満だったのは現実サーフと現実ヒートが日本人だったところ。メガテンといえば日本人主人公だろという言い分はわかるが、AIサーフ・ヒートと現実サーフ・ヒートの見分けがつかなくなるという言い分はあまり説得力がない(名字呼びすればよいので)。また、ゲームの「独善的なお子様が作った理想の箱庭」という設定がぼく的にどストライクというのもあり、そこは原案よりゲームのほうが好き。
長所としては、まずSFとしてかなりしっかりした説明があり、けっこう満足度高い。キュヴィエ症候群の設定とか量子論のモチーフとか、やはりゲームでは若干説明不足感は否めないので、そこらへんの理解を補えるのはありがたかった。ただまあ、この話をゲームにそのまま落とし込むのはさすがに難しいので、しょうがないといえばしょうがないのかも。
あとは、ゲームではあまり過去が明らかにされていなかったシエロについて詳しく掘り下げられていたのが良かった。それからセラの印象はいい意味でだいぶ変わった。サーフとヒートはだいぶ邪悪な人間として描かれてはいたが、どちらもダークな魅力を伝えきれていたと思う。
ATLUS BEST COLLECTION DIGITAL DEVIL SAGA ~アバタール・チューナー~
- 出版社/メーカー: アトラス
- 発売日: 2006/03/23
- メディア: Video Game
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