読んだ本(2020/2)

2月に読んだ本のまとめ。

テッド・チャン「2059年なのに、金持ちの子にはやっぱり勝てない」(『S-Fマガジン』2019年12月号、早川書房

SFマガジン 2019年 12 月号

SFマガジン 2019年 12 月号

  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 雑誌
日本だけじゃなくアメリカでも、能力給になってない! みたいな話って出るのね。

小塚荘一郎『AIの時代と法』(岩波新書、2019年)

AIの時代と法 (岩波新書)

AIの時代と法 (岩波新書)

法っつーか社会っつーか。判例を添えた技術語りとしてけっこう楽しく読めた。

飛浩隆『自生の夢』(河出文庫、2019年)

自生の夢 (河出文庫)

自生の夢 (河出文庫)

  • 作者:飛浩隆
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 文庫
「海の指」「はるかな響き」が好み。特に「はるかな響き」は『2001年宇宙の旅』をひっくり返す設定が巧み。

そのほかは……うーん、ふわふわとした感じがあまり好みじゃなかった。「自生の夢」シリーズは気合入ってるのはわかるが、そこまでピンとこなかった(伴名練による詳細な解説を読んだあとでも)。

金子拓『織田信長』(河出書房新社、2017年)

織田信長 不器用すぎた天下人

織田信長 不器用すぎた天下人

  • 作者:金子拓
  • 発売日: 2017/04/22
  • メディア: 単行本
織田信長と他の戦国大名・家臣の関係から、信長の人物像を探るという面白い試み。詳細はここ

清水克行『戦国大名と分国法』(岩波新書、2018年)

戦国大名と分国法 (岩波新書)

戦国大名と分国法 (岩波新書)

教科書ではなかなか踏み込んで議論されない分国法について、その実態を詳しく解説した本。詳細はここ

ダニエル・キイスアルジャーノンに花束を〔新板〕』(ハヤカワ文庫NV、2015年)

古典ながら初読。文体面での仕掛けがよくできているし、後半の知能低下パートもよかった。ただ恋愛絡みの要素がちょっと蛇足なような気も。

香西秀信『論より詭弁』(光文社新書、2007年)

まあこういう本読んでおくと議論のやり方の幅が広がるかなーとは思う。

金子拓『織田信長<天下人>の実像』(講談社現代新書、2014年)

織田信長 <天下人>の実像 (講談社現代新書)

織田信長 <天下人>の実像 (講談社現代新書)

  • 作者:金子 拓
  • 発売日: 2014/08/19
  • メディア: 新書
前述の信長本よりもうちょっと広く浅く信長の実像を検討する本かなーと思ったら、よりニッチな本だった。「信長の野望」は実際のところどんなものだったのか、という問いは非常に面白いし結論にもそれなりに納得できるが、いかんせん論証材料が信長と朝廷との関わり方ばかりなので、前述の信長本よりも人を選ぶ本になっている。

村田沙耶香『変半身』(筑摩書房、2019年)

変半身(かわりみ) (単行本)

変半身(かわりみ) (単行本)

表題作「変半身」は、とくに前半のパートがすごくよかった。田舎の奇祭が何重ものフィクションになっている、というのが、新鮮な設定かつフェミニズム的によくできている。そこだけ切り抜いて1つの短編にしても全然成立するくらい。終盤の展開が若干強引すぎるのはアレだが、それを差し引いても満足。

サミュエル・I・シュウォルツ『ドライバーレスの衝撃』(白揚社、2019年)

視点の広さにひたすら圧倒される1冊だった。自動運転車が社会全体に与えるインパクトについて、網羅的に分析されている。一方、提言としては微妙。

金子拓『信長家臣明智光秀』(平凡社新書、2019年)

信長家臣明智光秀 (923) (平凡社新書)

信長家臣明智光秀 (923) (平凡社新書)

  • 作者:拓, 金子
  • 発売日: 2019/10/17
  • メディア: 新書
戦国大名の部下ってこんないろんな仕事してたんだーというのが素直な感想。「官僚」としての明智光秀の実像が具体的にわかる。