読んだ本(2021/1)

1月に読んだ本のまとめ。



野崎まど『タイタン』(講談社、2020年)

タイタン

タイタン

話の骨格がかなり『know』に似ていて既視感がある。『know』の後半を引き伸ばした感じかな。ハッタリの聞いた作風は健在なので満足度はそれなり。

全卓樹『銀河の片隅で科学夜話』(朝日出版社、2020年)

高級感があってかつ気軽に読める。詳細はここ

飯田一史『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』(青土社、2012年)

ベストセラーとなっているライトノベルの分析。作品分析・読者の世代分析・マーケティング分析などいろいろやっているので、議論のたたき台にはなる。

藤野可織『来世の記憶』(KADOKAWA、2020年)

来世の記憶 (角川書店単行本)

来世の記憶 (角川書店単行本)

SFとフェミニズム要素が多めの短編集。いかんせんどれも小粒すぎるが、とはいえわりとおもしろい。「切手占い殺人事件」「誕生」「いつかたったひとつの最高のかばんで」あたりが好み。

井上雅彦監修『ダーク・ロマンス(異形コレクションXLIX)』(光文社文庫、2020年)

伴名練目当て。まあなんかアンソロジーって感じ。伴名練「兇帝戦始」と図子慧「ぼくの大事な黒いねこ」が割と良かった。

小林真大『文学のトリセツ』(五月書房新社、2020年)

小説に興味がなくても読める、画期的な批評理論の解説本。詳細はここ

石川宗生『ホテル・アルカディア』(集英社、2020年)

ぼくはこの手の「短編を雑多にまとめて長編と称している系の長編」が大の苦手なのだけど、その割には比較的楽しめた。個々の短編が、不条理文学っぽさもありラテンアメリカ文学っぽさもありSFっぽさもあって絶妙だったからかなあ。

西尾維新『ニンギョウがニンギョウ』(講談社ノベルス、2005年)

ライトノベル風不条理文学。詳細はここ

若島正『殺しの時間』(バジリコ株式会社、2006年)

殺しの時間-乱視読者のミステリ散歩

殺しの時間-乱視読者のミステリ散歩

  • 作者:若島 正
  • 発売日: 2006/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
『ミステリマガジン』連載の、当時未訳だった小説(主にミステリー)の書評集。とくに前半の「殺しの時間」については、海外の非ジャンルミステリーを中心とした紹介っていうのはだいぶ貴重だと思う。

高山羽根子『居た場所』(河出書房新社、2019年)

居た場所

居た場所

不条理文学、ともちょっと違う不思議な小説。異物混入文学って感じかな。面白いかといわれると微妙なんだけど、なんか気になる。

ウラジーミル・ソローキン『マリーナの三十番目の恋』(河出書房新社、2020年)

マリーナの三十番目の恋

マリーナの三十番目の恋

いやーこの程度じゃあ過激描写ともいえないでしょう。ソローキンの時代的限界か。反体制レズビアンにわからせセックスして模範的工作員にするっていうのはポリコレ的にも微妙。

酉島伝法『オクトローグ』(早川書房、2020年)

オクトローグ 酉島伝法作品集成

オクトローグ 酉島伝法作品集成

酉島伝法の魅力を短編として気軽に(?)味わえる。詳細はここ