2月に読んだ本のまとめ。
オーウェルの伝記。
オーウェル本人がいくら上流階級を嫌悪しても、結局ほぼほぼアッパーミドルクラスという立場から逃れられない感じがつらかった。
さやわか『名探偵コナンと平成』(コア新書、2019年)
全体的にはコナンを話のタネにした雑平成批評という感じであまり感心しない。ただところどころ見るべきところはあり、4章のコナンの殺人事件の内訳分析や、6章の「コナンは結局どういう物語なのか」みたいな話は面白かった。
木下古栗「大量絶滅」(『小説宝石』2020年12月号)
「芥川翔」で笑ってしまった。
市原真『どこからが病気なの?』(ちくまプリマー新書、2020年)
病気の複雑さを、「複雑なままわかりやすく」伝える本。詳細は
ここ。
わけがわからない小説だという評判は確かにそうなんだけど、予想していたよりはずっとわかりやすかった。
戦前~戦後30年ぐらいまでの大学生の「教養」の実態としてはまあ面白い。ただまあ案の定最終的に若者けしからん論に着地するので残念。
斜線堂有紀『私が大好きな小説家を殺すまで』(メディアワークス文庫、2018年)
タイトルとあらすじから想像できる話の内容を一歩も超えないので特に驚きがない。タイトルとあらすじが違えばもうちょっと楽しめたかもしれない。
阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』(光文社、2020年)
特殊設定みマシマシのミステリー短編集。「第13号船室からの脱出」が好み。
千葉雅也『勉強の哲学 増補版』(文春文庫、2020年)
哲学っつーか
自己啓発本。詳細は
ここ。
鵜飼哲夫『芥川賞の謎を解く』(文春新書、2015年)
「謎を解く」っていっているけどその謎がどこにもなかった。
酉島伝法『るん(笑)』(集英社、2020年)
物語の大筋がわかりづらかった。細部は凝っていて面白い。
磯野真穂『医療者が語る答えなき世界』(ちくま新書、2017年)
文化人類学で科学批判をやろうとするところはかなり無理があるかなあ。医療者相手の分析とかはけっこう面白い。
今野晴貴『君たちはどう働くか』(皓星社、2016年)
労働法の超柔らかい本としてはアリ。その一方で「労働は本質的には善である」みたいな思想に対する疑いのなさはちょっとつらいなあと。
古谷田奈月ほか『kaze no tanbun 移動図書館の子供たち』(柏書房、2020年)
kaze no tanbun 移動図書館の子供たち
- 作者:我妻 俊樹,円城 塔,大前 粟生,勝山 海百合,木下 古栗,古谷田 奈月,斎藤 真理子,西崎 憲,乘金 顕斗,伴名 練,藤野 可織,星野 智幸,松永 美穂,水原 涼,宮内 悠介,柳原 孝敦
- 発売日: 2020/12/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
かなり執筆陣が豪華……な。んだが、いかんせんどれも小粒でピンとこない。あと、目次が巻末にあるのは本当に使いづらいのでやめてほしい
山岡淳一郎『医療のこと、もっと知ってほしい』(岩波ジュニア新書、2009年)
ルポ本としてわりとよかった。ドクターヘリの話とかはドラマでしか見たことのないような話なので、興味深く読めた。
今村夏子『木になった亜沙』(文藝春秋、2020年)
だいぶ不条理度高めの短編集。詳細は
ここ。
飯田一史『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社新書、2018年)
経営目線からの分析が得意な飯田一史の本領発揮。詳細は
ここ。
行岡哲男『医療とは何か』(河出ブックス、2012年)
著者は病気を「身体の不都合」「不条理感」「自己了解の変容の要請」と定義しているんだけど、この定義はちょっと浮世離れしすぎでしょう。まあ著者が救急医療の人だから、というのはあるかもしれないけど。
後田亨『生命保険の罠』(講談社+α文庫、2012年)
元ニッセイ保険営業マンによるボロクソな保険批判。書名は「生命保険」となっているが、批判対象は
がん保険なども含まれる。まあ10年近く前の本なので、ここからどの程度状況が改善されたのかはよくわからないが、考え方は今も変わらないはず。