いいからとっとと金よこせ!/松尾匡『左翼の逆襲』

前半はいつもの松尾の反緊縮アジ。とはいえ、歴史的な経緯の整理については、レフト3.0の失速までしっかり書いていて誠実さを感じる。

後半の方は、マルクスの再解釈による反緊縮の思想的裏付けみたいな話だが、正直反緊縮を裏付けているとは思えず、どちらかというと「御託はいいからとっとと金よこせ!」という思いが出てきてしまった。反緊縮は単なる経済政策なんじゃなくて新しい社会制度の構築云々という話が出てくるんだけど、まさにそういうお題目こそ、松尾がこの本の前半で批判してたレフト2.0のやっていたことなんじゃないかなー。さらにいうと、『この経済政策が民主主義を救う』以降の松尾の本では反緊縮の思想みたいな話はあまり出てこなかったところもあり、後付の理屈に見えてしまう。