「デモクラシーの一概にはいえなさ」をそのまま書籍化した奇妙な本/杉田敦『デモクラシーの論じ方』

デモクラシーとはどのようなものか、というのは、思慮深い人であればまあ一概には答えられない疑問だと思う。本書は、そのような「デモクラシーの一概にはいえなさ」というものをそのまま保存して書籍化した、奇妙な本である。対話形式という形式は、(わかりやすさのために対話形式をとる軽薄な本と違って)その「一概にはいえなさ」を表現するために最大限に活かされている。結局結論が出ない本なのであまりスッキリとはしないが、一市民として民主主義に真面目に向き合いたい人にはおすすめ。

文句をつけるとすれば、対話をする人物をAさんとBさんにしたのは可読性を下げていると思う。名前がついていればどっちが喋っているのかがよりわかりやすくなったんじゃないのかなー。