保険会社視点の保険金殺人モノって珍しいかも/貴志祐介『黒い家』

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

貴志祐介日本ホラー小説大賞受賞作。何よりも、保険会社の視点から保険金殺人モノを書くというのが面白い。貴志は保険会社に勤めていたようなので、そこのディティールがしっかりしていたのがよかった。犯罪率が近年上がっているだとか、だいぶ胡散臭い通俗心理学だとか環境ホルモンだとか、いろいろと難のある部分はあるが、書かれたのが1997年なのでしょうがないといえばしょうがない。主人公と犯人との対決を描く圧倒的な筆力があるので、説明がガバガバでもまあ許せてしまうというのは『悪の教典』とも同じかも。



悪の教典(上) (文春文庫)

悪の教典(上) (文春文庫)

悪の教典(下) (文春文庫)

悪の教典(下) (文春文庫)