古栗の意外なアクティブさが垣間見える/木下古栗「木下古栗のカルチャー×食」

木下古栗が『UOMO』という男性向けファッション雑誌に連載していたエッセイ。「カルチャー」といわれるとぼくみたいな文化系はすぐ小説とかマンガとか映画とかを思い浮かべるけど、古栗がこの連載で扱う「カルチャー」はずっと幅広く、スカイダイビングだのドローンだのVRドラゴンボールだのサッカーだの、ちょっとぼくみたいな人間には縁がなさそうな「カルチャー」が紹介されている。典型的な小説家のイメージにはあまり当てはまらない、古栗の意外なアクティブさが垣間見えるので意外性はある。

そうかと思うとたまーーーーーーーに小説家らしい話も出てきている。たとえば2019年10月号では、文芸誌編集者から冷遇を受けた体験について触れている。また、2020年12月号では小説の推敲についての尋常じゃないこだわりについて解説していたりする。なので、ファンなら一読の価値は……なくもないかな。

ちなみに「食」については、毎回カルチャー側に寄せる努力はしているものの、とくにめざましいシナジーが生まれたりはしていない。