新しいポケモンの出発点/「ポケモン レジェンズ アルセウス」

「リトルタウンヒーロー」の出来がけっこう微妙だったのでだいぶ不安だったんですが、かなり面白くてひと安心。ポケモンの世界観をオープンワールドっぽい世界観に落とし込んだゲームとして、「サン・ムーン」「名探偵ピカチュウ」「Newポケモンスナップ」あたりの流れを引き継ぎ、特にポケモンファンにとってはたいへん没入できる。アクションゲームとしても、完璧ではないものの、変な違和感とかはあまりない。オープンワールドゲーにはよくあるクエスト方式を採用しているのは、最近のポケモンにはやたら多かった露骨なルート強制もなく、そこそこの自由度とそこそこのわかりやすさを両立できていると思う。また、アクションゲームとしてもRPGとしても遊べるというのはわりとオリジナリティがあり、アクションがうまい人であればサクサク進めるし、アクションが苦手でも従来のポケモンに近い形でプレイできるというのは、いろんなユーザーにとってとっつきやすくなっていると思う。

ただまあ欠点もそれなりにはある。一番気になったのは、ゴリゴリに異世界転生フォーマットのストーリーだとか、ウォーグルのライドが飛行というより滑空だとか、そういうあまり歓迎されなさそうな要素を採用しておいて、広報の段階では隠していたこと。「ソード・シールド」のときも、比較的無難なデザインのポケモンを事前情報で出しておいて、賛否両論ありそうなデザインのポケモンは発売まで発表しなかったというのがあったので、そういう悪しき風潮は引き継がれている感じがする。フィールドは、ウォーグルのライドが手に入ってしまうとちょっと狭さを感じる。看板ポケモンアルセウスに出会うためには図鑑を完成させる必要があるというのも、ちょっとかったるいかなあ。

ということで、このゲームは新しいポケモンの出発点である。この路線でゴリゴリのアクションゲームを作ってもよいと思うし、うまいこと従来のポケモンの中にオープンワールド要素とかだけを取り入れるとかでもよいと思う。ポケモンの可能性を広げてくれた一作なんじゃないかな。