読んだ本(2022/2)

2月に読んだ本のまとめ。


劉慈欣『円』(早川書房、2021年)

『三体』著者によるSF短編集。詳細はここ

松田青子『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』(中央公論新社、2021年)

表題作がよかった。木下古栗的な言語ゲームが、フェミニズムと融合して圧倒的な迫力を醸し出している。

伴名練「『日本SFの臨界点』編纂の記録2021」(『S-Fマガジン』2021年10月号)

アンソロジー編纂意図が細かく記録されていて、裏話をここまでしっかり書いているのは貴重。

R・A・ラファティ『ファニーフィンガーズ ラファティ・ベスト・コレクション2』(ハヤカワ文庫SF、2021年)

うーん、1巻に引き続きこちらも微妙。まあラファティの短編はnot for meかな。

オキシタケヒコ筺底のエルピス(7)』(ガガガ文庫、2021年)

デカい話をしているはずなんだけどなんか地味におさまっちゃった感じ。

佐々木俊尚電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー携書、2010年)

まあちょっと煽り気味ではあるが、そこら辺のヤマ師よりは正確に未来予測してる感じかなあ。電子書籍黎明期の会社事情の記録としてもまあまあ。

西尾維新『零崎双識の人間試験』(講談社文庫、2011年)

うーーーーんまあ続き読むまで評価は保留かなあ。

山崎元、岩城みずほ『人生にお金はいくら必要か〔増補改訂版〕』(東洋経済新報社、2019年)

共著者の岩城がファイナンシャルプランナーということで、人生設計という点で見通しが立てやすいのがいいところかな。

岩波明『やさしい精神医学入門』(角川選書、2010年)

精神病を徹底的に物理的な現象として捉える試み。とくに、薬の副作用は強調されがちだけど、薬を使わない治療にも副作用あるでしょという指摘には目から鱗だった。

乗代雄介『皆のあらばしり』(新潮社、2021年)

つまんない。

宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書、2019年)

現状認識や提言はそれなりに見所がある一方、こういう本がウケるのは「新しい俗流若者論」みたいな感じなのかなあとも思い、なんか感じが悪い。『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』と似たような印象を受けた。

今村夏子『こちらあみ子』(筑摩書房、2014年)

イヤ純文学の原石。詳細はここ

東野圭吾探偵ガリレオ』(文春文庫、2002年)

ミステリーとしてはマジでつまんないんだけど、まさにそういうつまんないミステリー的なお約束をガンガンカットしていくのは好感が持てるかな。

遠野遥『教育』(河出書房新社、2022年)

遠野が感じているようなものの見方に合わせていろいろ設定つけていったらこんなんになっちゃいましたって感じ。作り物感が強すぎて微妙。

山田順『出版大崩壊』(文春新書、2011年)

出版社側の煽りがひどいなあこれ。内容的にはそこまでヤバいこともたいして言っておらず、ふわっと出版社ヤバいんじゃないのというぐらいなのを、無駄に「大崩壊」とか煽っているので非常に軽薄に感じる。

岡目八目を承知でいうと、電子書籍はいろいろな意味で銀の弾丸ではないのですよ。出版社に対する銀の弾丸でもないし、出版不況に対する銀の弾丸でもない。電子書籍のあるなしに関係なく、じわじわと真綿で締められるような感じでゆっくりと衰退していくんじゃないでしょうか。

小飼弾小飼弾超訳「お金」理論』(光文社、2021年)

まあ最近の左翼っぽいお金エッセイ。ところどころけっこう過激なことも言ってるが、そこまで変な話ではないと思う。

バフェット太郎『バカでも稼げる 「米国株」高配当投資』(ぱる出版、2018年)

スタンスとしてはそこまでめちゃくちゃではないと思ったので、ちょっと試しに実践してみようとしたところ、一般的な株式投資の面倒くささにびっくりした。通常の株式投資って少額ではできないんだね。分配金の再投資とかって投資信託だと勝手にやってくれるけど、普通に株買うとそういうことできないんだね。もうちょっとお金持ちだったら毎月注文すればいいんだけど、ぼくはまだそこまでお金を持っていないので断念。最終的には(少なくとも資産1000万とかになるまでは)インデックス投資でいいかなーという結論に至った。

ヴァホン・ジョンジグヨン『バフェット流投資に学ぶこと、学んではいけないこと』(ダイヤモンド社、2009年)

神聖視されがちなバフェットの相対化には成功しており、そういう意味では良書。ただネオリベ丸出しの経済観はちょっと勘弁してほしいなあ。

伴名練「消える」(『幻想と怪奇8』新紀元社、2021年)

よくあるパラレルワールドもののショートショート。わりとまっとうな人格なのに誘拐事件にやたら詳しい老人、という珍妙な設定があるのでまあ読みどころがないわけではないかな。

雨穴『変な家』(飛鳥新社、2021年)

間取りはともかく、殺人の動機とかがだいぶおざなりなのがなあ。Youtubeだとまあまあ迫力あったけど、書籍化すると急に薄っぺらく感じる。

池上直己『医療・介護問題を読み解く』(日経文庫、2014年)

日経文庫らしくやや堅めで教科書然とした入門書。

大形徹『不老不死』(志学社選書、2021年)

古代中国の不老不死の思想史みたいな感じで、わりと狭くて細かい話。

三崎律日『奇書の世界史』(KADOKAWA、2019年)

ニコニコ動画Youtubeで投稿された「世界の奇書をゆっくり解説」という動画シリーズの書籍化。こちらも書籍として読むとだいぶ薄っぺらい印象を覚えた。

間宮夏生『ペルソナ×探偵NAOTO』(電撃文庫、2012年)

アイリスの口調が全然違う時点でだいぶ萎えた。