その一方で難点なんだけれども、著者は「類書は面白くないので、面白い本を書いたぞ!」と息巻いているんだけど……ややスベってない? まあ戸田山の文体はもともとくだけた口調やらオヤジギャクやらを頻繁に使用するものなので半分ぐらいはもともと微妙にスベってるというのはあるかもしれないし、ぼく自身はここまでくだけた文章じゃなくても読めるからというのもあるのだけれど、それにしても以前読んだ『教養の書』にしろ『恐怖の哲学』にしろこんなにスベってる感はなかった気がする。対話形式を一部取り入れているのが微妙なのかな。でも似たような形式でも『科学哲学の冒険』とかあったし……。面白い本だと自称している割にそこまで面白いわけではないのが、スベり感を生んでいるのかもしれない。
とはいえ、スベっていても内容の良さは変わらない。もし論文の書き方についての本を必要としているのであれば、内容的には文句なしにおすすめできる。