いまさら古典部といわれても/米澤穂信『いまさら翼といわれても』
いまさら翼といわれても【電子特典付き】<「古典部」シリーズ> (角川書店単行本)
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2016/11/30
- メディア: Kindle版
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だって『ふたりの距離の概算』から6年ぶりですよ6年ぶり。米澤は決して筆が遅い作家ではないのに、しかも短編集なのに。
とはいえさすがにここ数年ミステリーで異様な人気を博しているだけあって、どの短篇も及第点には達している。ついでに米澤は小説家として(ミステリー作家として、ではなく)器用でもあるので、十分楽しめます。
ただ、これは個人的な問題なんだけれども、早坂吝『虹の歯ブラシ』を読んでからというものミステリーの短編集というものに対するハードルが上がっている。そのため、ぼくの評価は多少マイナスすぎるかもしれないので、その点はご注意を。あとネタバレもあるので注意。
白石晃士って普通の映画も撮れるのね!/白石晃士「貞子vs伽椰子」
遅ればせながらようやく見ましたが、白石晃士って普通の映画も撮れるんですね! 普段フェイク・ドキュメンタリーばっか撮ってるから、それが悪影響を及ぼしているかと思いきや、撮り方の違和感は全然なかった。
ぼくがホラー苦手というのはあるけど、特に前半はホラーとしてもちゃんと成り立っていると思う(傑作とまでは言えないが……)。とかいいつつ、「コワすぎ!」的な白石晃士独自のおもしろさもうまくブレンドされていて、後半はバカ映画として、それはそれで成立している。
民俗学とかミームとか集合無意識とかみたいな衒学趣味はあんまりうまく機能してないと思うけど、その一方で現代都市伝説としてスマホとかネットとか機械系のジャンクショップとかを利用しているのはうまい。白石晃士はプロットとか伏線とかはけっこう丁寧に作るタイプの監督なのでまあ当然といえば当然だけど。
続きを読む79円で買えるぞ! 急いで買え!/浅野典夫監修『マンガでわかる 今を読み解く世界史』
監修者は「世界史講義録」で有名な浅野典夫で、内容は可もなく不可もなく。南米とかアフリカあたりが明らかに手薄とはいえ、「今を読み解く」みたいな池上彰感あふれるコンセプトで世界史の講義本を作っても、思ったよりカバーできるんですね。教養としてはこれぐらいでもまあいいのかも。
……っていうだけだったら別に1300円も出してこんなマンガ買う必要はないんだけど、なぜかこの本のkindle版は、なんと1217ポイントもつくのだ!!! いやーびっくりしちゃって思わず買っちゃいましたよ。はっきりいって1300円の価値はないけど、100円なら受験で世界史使ってない人間(ぼくとか)にとっては十分だと思う。
12/20追記
なんかいつのまにかポイント普通に戻ってた。それだとこの本買う意味はあんまないと思う。ちょっと奮発してマクニールとか読んだほうが……。
「女性のための」経済学入門ってこういうことか!/オスター『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』
以前山形浩生が「『女性のための』ということばを『バカのための』みたいなことばの婉曲表現として使うことがあるけど女性軽視だし困る」みたいなことを書いていた。まったくその通りではあるのだけど、じゃあ「女性のための」っていう言葉はどのように使えばいいのだろうか(あるいは使うべきでないのか)? ということをちょくちょく考えていた。
その答えが、この本を読んでようやくわかった。こういう本を「女性のための」経済学入門っていうのか!
続きを読む読書家あるあると百合と/施川ユウキ『バーナード嬢曰く。(1~3)』
大昔に1巻だけ読んでいたのを、今さらながら全部読み直してみたんだけど、いつの間にか濃厚な百合になっていてびっくり。まあこの絵でも町田さわこも神林しおりも可愛らしいので、楽しめます。
ぼくは読書家あるあるみたいなのってあんまり好きじゃないので、『バーナード嬢曰く。』のネタのうち半分ぐらいは「あーはいはいわかるわかる」って感じで聞き流しちゃう。そういうネタは施川も手を抜いて書いてるんじゃないかなーって思う。
でもときどき、水嶋ヒロとかさまぁ~ずとか熊嵐とか、異様に熱の入った部分があって、そういうのを読むと、「あっこの人本当に本好きなんだな……!」って共感してしまう。そういうのに触れることができると、読書家の端くれとしてはなんとなくうれしい感じ。
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