2021-01-01から1年間の記事一覧

今年の10冊(2021)

2021年に読んだ、印象に残った本およびその印象のまとめ(小説とノンフィクションをそれぞれ10冊ずつ)。

露天風呂オンリーの快適な共同浴場/白骨温泉 煤香庵

www.baikoan.net 白骨温泉中心街にある、露天風呂オンリーのこじんまりとした共同浴場。しっかり加熱しているのか、だいぶ寒い時期でも程よく熱く、快適に入浴できた。崖に面しているため、外の景色もまあまあ。洗い場も屋外のため体を洗うとものすごく寒い…

気軽に楽しめる秘境温泉旅館/白骨温泉 かつらの湯 丸永旅館

hb.afl.rakuten.co.jp 炭酸カルシウムによるきれいな白濁の温泉が特徴的。メインの浴場はそこまで広くはないが、そもそも旅館自体やや小さめなので、あまり問題にはならなかった。また、無料で使える貸切風呂は、床一面が湯の花びっしりとなっていて圧巻。露…

選民思想は大阪風ユーモアで誤魔化せる/小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』

本にだって雄と雌があります(新潮文庫)作者:小田 雅久仁新潮社Amazon大量の蔵書を置いておくと、2冊の本から新しい本が生まれるというファンタジー。題材上どうしてもペダンティックさや読書家的な選民思想色があらわれてしまうというのは避けられず、豊崎…

本格的で独創的な生物学SFを書き続けた石黒達昌の傑作選/石黒達昌『日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女』

日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女 (ハヤカワ文庫JA)作者:石黒 達昌早川書房Amazon伴名練が編集した、石黒達昌の傑作選。本人がファンブログを運営するほどのファンでもあるためか、セレクトには概ね納得がいく。強いていえば個人的には、蜂につきまと…

古栗の意外なアクティブさが垣間見える/木下古栗「木下古栗のカルチャー×食」

UOMO(ウオモ) 2018年 01 月号 [雑誌]集英社Amazon木下古栗が『UOMO』という男性向けファッション雑誌に連載していたエッセイ。「カルチャー」といわれるとぼくみたいな文化系はすぐ小説とかマンガとか映画とかを思い浮かべるけど、古栗がこの連載で扱う「カ…

トヨザキ社長、ぼくの書評が杜撰じゃなくてTikTokerけんごの小説紹介が杜撰だとは思えないんですけど

石原慎太郎を読んでみた ノーカット版 (中公文庫)作者:栗原裕一郎,豊崎由美中央公論新社Amazontogetter.com 書評家の豊崎由美が、小説紹介をするTikTokerけんごのことを批判して炎上している。けんごのことはぼくは噂でしか知らなかったので、あらためてちょ…

『なめ敵』以降の伴名練を代表する大傑作/伴名練「百年文通 one hundred years distance」

コミック百合姫 2021年1月号[雑誌]作者:伴名 練,けーしん,雨水 汐,椋木 ななつ,竹嶋 えく,サブロウタ,はづき,樫風,なもり,ゆあま,阿東 里枝,未幡,田口 囁一,伊月 クロ,大沢 やよい,煮汁,志水 はつみ,SukeraSparo,黄井 ぴかち,しーめ,桜野 いつき,和泉 キリフ…

木下古栗「天使たちの野合」が『変愛小説集 日本作家編』文庫版から削除されているのは講談社とトラブったため?

変愛小説集 日本作家編作者:川上 弘美,多和田 葉子,本谷 有希子,村田 沙耶香,木下 古栗,小池 昌代,星野 智幸,津島 佑子,吉田 知子,深堀 骨,安藤 桃子,吉田 篤弘講談社Amazon木下古栗は単著に収録されてない短編小説が大量にあるのだけれど、その1つが岸本佐…

ボートレース場近くのカジュアル温泉/平和島温泉 天然温泉 平和島

www.heiwajima-onsen.jp わりとカジュアル感あふれる温泉ではあるんだが、メインの温泉はやや黄色がかった塩分高めの泉質で、思っていたよりはまあまあ。複合施設の一角なので、外に出れば飲食店やアミューズメント施設もいろいろあるのがいいところかなあ。…

読んだSCP(2021/11)

11月に読んだSCPのまとめ。

読んだマンガ(2021/11)

11月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2021/11)

11月に読んだ本のまとめ。

ゼロからトースターを作った狂人の記録/トーマス・トウェイツ『ゼロからトースターを作ってみた結果』

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)作者:トーマス トウェイツ新潮社Amazonなんといっても著者の狂ったようなバイタリティがすごく、そのイカれっぷりが大変軽妙な筆致で綴られるので全編通して笑いっぱなしだった。そしてそれを通して、高度に発…

皆が求めていたのはプラチナリメイクであって、ダイパリメイクではない/「ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール」

ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド - Switch|オンラインコード版任天堂Amazon結局のところ、最大の問題点はこのリメイクがダイパをベースに作られているということ部分にあるんだと思う。ダイパ→プラチナの変更点はほぼほぼイコール改善点なのだ…

バズらせた早川の努力に感謝/劉慈欣『三体Ⅲ』

三体Ⅲ 死神永生 上作者:劉 慈欣早川書房Amazon三体Ⅲ 死神永生 下作者:劉 慈欣早川書房Amazon基本的な感想は、『Ⅱ』を読み終わったときとそこまで大きくは変わらず、まあまあおもしろかった。『Ⅲ』下巻の終盤はバカSF色がかなり強く、バカバカしさに思わず笑…

伴名練編『日本SFの臨界点 新城カズマ』解説に『魔界探偵 冥王星O』についての記述がない

日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人 (ハヤカワ文庫JA)作者:新城 カズマ早川書房Amazon伴名練編のアンソロジーシリーズ『日本SFの臨界点』シリーズは、単純なアンソロジーとしての面白さもさることながら、とんでもなく分厚い解説にも定評がある。…

木下古栗『人間界の諸相』特設ページに掲載されていたエッセイについての調査メモ

人間界の諸相 (集英社文芸単行本)作者:木下古栗集英社Amazonsave-as.hatenablog.com 前々からちょこちょこ木下古栗全作品リストを更新しているのだけれど、先日コメントにてこんな情報提供をいただいた。 で、ここからはだいぶあやふやな情報になってしまう…

読んだSCP(2021/10)

10月に読んだSCPのまとめ。

読んだマンガ(2021/10)

10月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2021/10)

10月に読んだ本のまとめ。

「孤城」というもうひとつの学校について/辻村深月『かがみの孤城』

かがみの孤城 上 (ポプラ文庫)作者:辻村深月ポプラ社Amazonかがみの孤城 下 (ポプラ文庫)作者:辻村深月ポプラ社Amazonこの小説に出てくる「孤城」は、一見するとファンタジーな空間ではあるが、フリースクールと同様、明らかに学校に馴染めなかった人向けの…

凝りすぎでは?/「DELTARUNE Chapter.2」

store.steampowered.com そのとんでもない凝りっぷりは「UNDERTALE」に勝るとも劣らない感じで、Chapter.2の時点でもうアンテの半分ぐらいのボリュームはあるんじゃないか。2からはアンテのGルートのような分岐要素もあり、たいへん期待できる。ただ、開発ペ…

読んだマンガ(2021/9)

9月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2021/9)

9月に読んだ本のまとめ。

前田敦子のおかげで割と見れる/黒沢清「旅のおわり世界のはじまり」

旅のおわり世界のはじまり前田敦子Amazon要約すると本当にこじんまりとしたストーリーなような気はするのだけれど、黒沢清の演出と前田敦子の魅力のおかげでなんとか2時間持たせているというような感じ。特に前半の不穏な雰囲気とかは、黒沢ホラーがうまいこ…

学際の見本/金森修『病魔という悪の物語』

病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー (ちくまプリマー新書)作者:金森修筑摩書房Amazonこれは学際の見本だなあ。公衆衛生学であると同時にその科学史でもあり、歴史学の側面もあり、言語学やメディア学にも片足を突っ込んでいる。コロナ下の現在ということ…

本職の声優じゃない人には重要な役やらせないでほしい/細田守「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」

ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島田中真弓Amazon細田がよくやる、不自然さすらあるシンメトリー構図が、映画全体の不穏さに貢献している。音楽も、話の緩急をつけるのにかなり効果的に使われている感じ。敵キャラの造形も「マブラヴ・オ…

「作者の死」の死

物語の構造分析作者:ロラン・バルトみすず書房Amazon 要約 「作者の死」でバルトは「作者」を時代の産物としているが、そうであれば時代の変化により「作者」が復活する可能性がある。そして現代では、インターネットによって「作者」の存在が強化されるので…

読んだマンガ(2021/8)

8月に読んだマンガのまとめ。