2021-01-01から1年間の記事一覧

読んだ本(2021/8)

8月に読んだ本のまとめ。

一人の作家の小説を読むということ/栗原裕一郎、豊崎由美『石原慎太郎を読んでみた』

石原慎太郎を読んでみた ノーカット版 (中公文庫)作者:栗原裕一郎,豊崎由美中央公論新社Amazon特に栗原裕一郎の労力には脱帽。わざわざ石原慎太郎なんかのために国会図書館に通い詰めて、全集から埋もれた名作や駄作まで、丹念に一人の作家と向き合うという…

ジュブナイル文体でも森川の世界観は隠せない/森川智喜『踊る人形』

踊る人形 (講談社文庫)作者:森川智喜講談社Amazon森川智喜の「三途川理シリーズ」の3作目。今作のもっとも大きな特徴は、ジュブナイルミステリーのような文体だろう。本気でジュブナイルを書きたいわけではないというのはストーリーのブラックさからも伺える…

ポケモンDPtのライバルと、ムクホークのかげぶんしん

ポケットモンスター プラチナ(特典無し)任天堂AmazonポケモンDPtのライバルは、元々はお調子者だが、ギンガ団のジュピターに敗北したことをきっかけに成長して、やや落ち着いた人間になった。そのような心境の変化が、ムクホークに覚えさせている技とリンク…

フロム製RPGの最高傑作/「ダークソウル3」

DARK SOULS III THE FIRE FADES EDITION - PS4フロムソフトウェアAmazon1とか2に比べるとだいぶ爽快さが増していていい感じ。まあ正直「Bloodborne」とか「SEKIRO」と比べてしまうと微妙な点もあるが、装備などを変えてビルドを楽しむという部分については唯…

読んだマンガ(2021/7)

7月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2021/7)

7月に読んだ本のまとめ。

読んだマンガ(2021/6)

6月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2021/6)

6月に読んだ本のまとめ。

世界観を大切にしてくれたバンナムえらい/「New ポケモンスナップ」

New ポケモンスナップ|オンラインコード版ポケモンAmazonまあ正直、ちょっと難のある部分は多いかなあとは思う。根本的な問題としてレールシューティング的なシステムが面白いとは思えず、「ポケモンスナップ」が出た当時はハードスペックも低かったからそう…

マジックリアリズム風味の「やる文学」/「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」

What Remains of Edith Finch 『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』|オンラインコード版発売日: 2019/12/02メディア: Software Downloadマジックリアリズムの風味を感じた。ゲームでマジックリアリズムに遭遇するのは珍しい気がする。良くも悪くも「やる…

オンライン前提の作りはゲームの寿命を縮める/「ダークソウル2」

DARK SOULS II SCHOLAR OF THE FIRST SIN - PS4フロムソフトウェアAmazon前作からはあまり質は変わらず、量ががっつり増えたという印象。黒渓谷やアマナの祭壇の悪評はプレイ前から目にしていたが、実際にプレイしてみるとまあクソではあるんだけど、ダクソ1…

読んだ本(2021/5)

5月に読んだ本のまとめ。

雰囲気ゲーこそ操作性の良さが必要なのでは/「ワンダと巨像」

【PS4】ワンダと巨像発売日: 2018/02/08メディア: Video Gameあまり他に例のないゲーム性に加え、UIのゲームっぽい要素を極力排して雰囲気作りを徹底しているゲーム。なんだが、操作性の微妙さに雰囲気をぶち壊されたという印象が強い。まあもっさり感のある…

保険会社視点の保険金殺人モノって珍しいかも/貴志祐介『黒い家』

黒い家 (角川ホラー文庫)作者:貴志 祐介発売日: 2012/10/01メディア: Kindle版貴志祐介の日本ホラー小説大賞受賞作。何よりも、保険会社の視点から保険金殺人モノを書くというのが面白い。貴志は保険会社に勤めていたようなので、そこのディティールがしっか…

アクションとしてはそこそこ、アドベンチャーとしては傑作/「スーパーメトロイド」

スーパーメトロイド [WiiUで遊べるスーパーファミコンソフト][オンラインコード]発売日: 2014/10/31メディア: Software Downloadアクションとしてはそこそこ、アドベンチャーとしては傑作という感じで、マップを調べてちょっとずつ範囲を広げていくのがとて…

「デモクラシーの一概にはいえなさ」をそのまま書籍化した奇妙な本/杉田敦『デモクラシーの論じ方』

デモクラシーの論じ方 ――論争の政治 (ちくま新書)作者:杉田敦発売日: 2014/07/12メディア: Kindle版デモクラシーとはどのようなものか、というのは、思慮深い人であればまあ一概には答えられない疑問だと思う。本書は、そのような「デモクラシーの一概にはい…

読んだマンガ(2021/4)

4月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2021/4)

4月に読んだ本のまとめ。

テンポが良すぎて気楽にプレイできるアクションゲーム/「Celeste」

Celeste|オンラインコード版発売日: 2018/05/10メディア: Software Download高難易度アクションゲームだが、目を引くのは圧倒的なテンポの良さ。いわゆる死にゲーなのだけれど圧倒的に快適にプレイができる。また、そのテンポの良さのおかげで、試行錯誤をす…

オタクの原作主義はフェミニズムと相性が悪い

要約 フェミニズムの、女性差別的な描写をなくすべきという思想は、オタクの原作主義と相性が悪い。そしてそれが原因で、「オタクはアンチフェミ」というように見えやすいのではないか? ポケモンのタマムシシティにいる、ジムを覗いているおじいさん、海外…

『おにぎりスタッバー』の大澤めぐみが帰ってきた/大澤めぐみ『Y田A子に世界は難しい』

Y田A子に世界は難しい (光文社文庫)作者:大澤 めぐみ発売日: 2021/02/09メディア: Kindle版『おにぎりスタッバー』での圧倒的饒舌JK文体で鮮烈なデビューを果たした大澤めぐみだが、その後の大澤の小説では、その印象的な文体は鳴りを潜めていた。文体を非常…

たいへんしんどいADHDアイドルオタク小説/宇佐見りん『推し、燃ゆ』

推し、燃ゆ作者:宇佐見りん発売日: 2020/09/10メディア: Kindle版たいへんしんどい小説である。主人公はおそらくADHDであり、そのためかかなり破滅的な人生を送っている。特に人間関係はかなりボロボロで、友達っぽい友達は1人ぐらい(しかもオタ友)しかお…

恐竜を飼うことに重点を置いたクラフトゲー/「ARK: Survival Evolved」

【PS4】ARK: Survival Evolved発売日: 2017/10/26メディア: Video Gameオープンワールドのクラフトゲーではあるんだが、まあ本作の魅力は、恐竜を飼うことにあるでしょう。恐竜を飼うことによって、さまざまな意味で「世界が広がる」感覚は、なかなか他のゲ…

あとはスリムにしてちくまプリマー新書に入れれば完璧/戸田山和久『教養の書』

教養の書作者:戸田山和久発売日: 2020/06/05メディア: Kindle版戸田山和久による、実存が込められた「教養」の本。ギリシャ哲学から進化論や認知心理学まで、非常にさまざまな分野の上に「教養」を定義づけるという、気合の入った試み。教養という概念が持つ…

いいからとっとと金よこせ!/松尾匡『左翼の逆襲』

左翼の逆襲 社会破壊に屈しないための経済学 (講談社現代新書)作者:松尾匡発売日: 2020/11/18メディア: Kindle版前半はいつもの松尾の反緊縮アジ。とはいえ、歴史的な経緯の整理については、レフト3.0の失速までしっかり書いていて誠実さを感じる。後半の方…

読んだマンガ(2021/3)

3月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2021/3)

3月に読んだ本のまとめ。

10年代の面白い日本SFを網羅するアンソロジー/大森望、伴名練編『2010年代SF傑作選(1・2)』

2010年代SF傑作選1 (ハヤカワ文庫JA)発売日: 2020/02/06メディア: 文庫2010年代SF傑作選2 (ハヤカワ文庫JA)発売日: 2020/02/06メディア: 文庫10年代の面白い日本SFを網羅しようという気概が感じられる。また、流石に傑作選を謳うだけあり、ある程度制約があ…

「○○っす」とジェンダー解体の意外なつながり/中村桃子『新敬語「マジヤバイっす」』

新敬語「マジヤバイっす」: 社会言語学の視点から作者:桃子, 中村発売日: 2020/03/12メディア: 単行本まず、「○○っす」という言葉遣いが、単なる教養のない若者の言葉というだけでなく、敬意と親しさの両方を表現する機能を持つというだけでもけっこう面白い…