伴名練の趣味全開のSFアンソロジー/伴名練編『日本SFの臨界点』

『恋愛篇』は、わりと読みやすい短編が揃っている印象。後味も良いものが多く、SF初心者にもかなり勧めやすいアンソロジーとなっている。ただし、ちょっとでも恋愛要素のあるSF短編を無理やり「恋愛篇」としてまとめた感はあり(和田作品とか高野作品とか円城作品とか)、恋愛小説アンソロジーとしてはやや難ありか。

一方『怪奇篇』については、「SF史の闇に葬られていたバカSF」色が強め(もちろんそうでないのも何作かあるけど)。おどろおどろしさとかよりも奇想のほうが目立っており、かなりアクの強いアンソロジーとなっている。ぼく自身も、平均的には『恋愛篇』のほうが楽しめた。

続きを読む

最低限はミステリーしてると思う/西尾維新「戯言シリーズ」

ミステリーじゃない! という評判が多いシリーズではあるが、最終巻を除いて、最低限の核はちゃんとミステリーになっていると思う。ミステリーのお約束がほとんどない巻も多いので、かなりわかりづらいけれども。ラノベ的なストーリー展開と文章は、全体的なリーダビリティを上げているとは思うが、前置きがやたらと長いのはちょっと勘弁してほしいなーって感じ。あと、投げっぱなしの伏線は、「人間シリーズ」「最強シリーズ」で回収されるんでしょうか……。

個別の感想でいうと、クビシメロマンチストが抜きん出て面白い。2つの全く関係ない連続殺人事件を1つの話にまとめる暴力的な強引さと、アンフェアスレスレなミステリーとしての攻めっぷりがとても魅力的。あとは、クビキリサイクル」「サイコロジカルは、それぞれ孤島モノ・館モノミステリーとして、ラノベテイストでいい感じにまとまっていると思う。

逆にちょっと厳しいなあと思ったのはヒトクイマジカル。ミステリーの根幹が「クビキリサイクル」「サイコロジカル」と同じようなネタなので、3回目になると流石に飽きる。全体的な冗長さも問題。

続きを読む

膨大なデータで読む芥川賞の歴史/川口則弘『芥川賞物語』

芥川賞物語 (文春文庫)

芥川賞物語 (文春文庫)

芥川賞受賞作・候補作の簡単な紹介からゴシップまで、芥川賞の歴史が手ごろな形でまとまっている。特に石原慎太郎以前の話は、芥川賞の話題としてもり取り上げられることが少なく、文学史としてもあまり触れられない部分だと思うので、けっこう勉強になった。候補作だとか他のメディアでの芥川賞の扱いとか、周辺領域に触れているのも大事。

また、著者の川口は「芥川賞のすべて・のようなもの」の管理者でもあるので、この本は膨大な芥川賞のデータを元にした、芥川賞に対する評論ともいえる。芥川賞通俗的な毀誉褒貶に対して、やや統計的な視点から反論しているのが特に好印象だった。

あと気になるのは、良くも悪くも川口が芥川賞受賞作・候補作に対して、あまり興味がなさそうなこと。あとがきでも、芥川賞よりも直木賞に強く興味があると述べており、各作品の評価に川口自身の意見があまり出てこない。悪くいえば他人の評価の寄せ集めだが、良くいえば中立的だと思う。

伝説のポケモンをいっぱい貰える課金DLC/「ポケットモンスター ソード・シールド 冠の雪原」

まあ良くも悪くも課金DLCだなーって感じのDLCだった。完全新規ポケモンが鎧の孤島のときの3倍もいるというのは結構嬉しかったが、その一方でストーリーが「鎧の孤島」よりも中身がなくなっているのはマジかって感じ。バドレックスについてのストーリーは割と面白かったのに、レジ関連とガラル3鳥のストーリーはあってないようなものだったのでかなり寂しい。「鎧の孤島」は、短い中にポケモンっぽいストーリーをしっかり詰め込んでいたんだなあというのがよくわかった。

続きを読む