なんでミステリー作家がわたモテアンソロジーを!?/谷川ニコほか『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 小説アンソロジー』

いや普通さ、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の小説アンソロジーがあるって聞いたら、参加者のメンツって渡航とか平坂読とかだろうなと思うじゃないですか。なんでやたらと豪華なミステリー作家たちがわたモテアンソロジーを書いているんですかね? 特に、若手ミステリー作家ならともかく、ゴリゴリにロートル辻真先が参加しているのにはぶったまげた。全体的には、2019年刊行ということで、わたモテの百合マンガへの転向を踏まえた作品が多いのでまあまあかな。

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薄味探索アドベンチャー/「メトロイド ゼロミッション」

スーパーメトロイド」もそんなにボリュームあるゲームではなかったけど、これはより薄味だなあ。まあ初代メトロイドのリメイクなのでしょうがないっちゃあしょうがない。悪いゲームではないとは思うんだけど、700円でもちょっと高いとすら感じてしまう。

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なかなか読めない長期投資小説/羽田圭介『Phantom』

おもしろいっすよ。長期株式投資という俗っぽすぎる題材を、うまく文学に組み込んでいる。羽田圭介山崎元の影響でけっこう投資に詳しいようで、ディテールもまあまあしっかりしている。長期投資家といいつつ配当金にやたらと期待したりデイトレードをしてしまうというのは、長期投資家としては微妙なんだけど、やや誇大妄想気味な語りを考慮に入れるとこれは信頼できない語り手なんだろうなと思え、そうだとすると主人公はダメ投資家として非常にうまく描かれているように見える。

差別的表現をメタフィクションで正当化するのはアリか?/川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』

巷でよく言われている、ブッキッシュな小説としてはちょっと微妙。ちょっと前にたまたま『本にだって雄と雌があります』を読んじゃったので嫌でも比較せざるを得ないんだけど、実在の小説家などをたくさん扱っている分よりペダンティックなのと、小田雅久仁のように特殊な語りでそこら辺を誤魔化すこともなく、むしろメタフィクションに寄せているため、その分だけ嫌な感じはある。あと、自画自賛がキモい。

他方、ゲイ文学あるいは恋愛小説としてはかなりよかった。ビート・ジェネレーションでドラッグでゲイでばんざーいみたいなクリシェに飲まれることなく、単に同性が好きなだけの普通の男性を描いていて好印象。恋人に対するアンビバレントな感情を丁寧に描いており、ベタっちゃあベタだがベタなりに面白い恋愛小説となっている。

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