1200円でも割高なのでは/「風ノ旅ビト」

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ゲームシステムやストーリーについて説明はほぼないが、まあふわっと雰囲気はわかるようになっており、まあこういうのもアリだとは思う。バイブレーションの使い方が特徴的で、キャラクターの移動などに合わせて微弱なバイブレーションを起こしているのは、表現の拡張としてけっこう好印象。

にしたって、このボリュームだとさすがに満足はできないかなあ。ロープライスゲーで1200円なんですが、それにしたって割高なんじゃないだろうか。ぼくは昔無料で配られたときに入手したので損した気分にはならないですが……。

スーパー銭湯系温泉には珍しい源泉かけ流し/天然戸田温泉 彩香の湯

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まあ全体的にはスーパー銭湯系温泉によくある深い掘削の温泉という感じ。温泉は露天風呂がメインではあるが、一応温泉を高濃度炭酸泉にしたものが内湯にあるので及第点かな。スーパー銭湯系温泉には珍しく源泉かけ流しの浴槽があるのは好感度高い。最寄り駅からはやや離れているが、駅への送迎バスがあるのはありがたい。

特殊設定アンチミステリーの極北/麻耶雄嵩『さよなら神様』

これはすごい。『神様ゲーム』で一度使ってしまった特殊設定を使いまわし、さらに短編にしてさまざまなパターンの物語を作り上げる。特殊設定ミステリーの限界を探る究極のアンチミステリーといっていいでしょう。

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『虐殺器官』を水で薄めた感じ/佐藤究『Ank:a mirroring ape』

まあなんか、伊藤計劃虐殺器官』を水で薄めて水増しした感じですな。根本的なアイデアがちょっと似ているのでどうしても連想してしまう。霊長類についてのディテールが詳しく、SFとしてはこっちのほうがいいのではと思いつつ、文学としては『虐殺器官』の方が圧勝。直接的な暴力描写とかは強烈でうまいので、そこら辺に価値を見出だせる人であればおすすめします。

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妊婦を救うのはフェミニズムではなくスピリチュアリティだった/横迫瑞穂『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』

妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ言説を丹念に追って、だいぶ胡散臭いスピリチュアルな思想が多くの妊婦・母親の精神的な支えになっているということを示した本。ある種のフェミニズムの限界、あるいは課題を明示したものとしてたいへん意義深いと思う。

スピリチュアリティに支えられている妊婦も多いのだからあまり攻撃すべきではない、という意見はわかるっちゃあわかるんだが、実際精神的にはともかく物理的には害も多そうで、なおかつフェミニズムに何ができるかという課題も薄いため、やはりちゃんと批判すべきだったのではとは思う。あと、研究対象を書籍に限定したのはかなりよろしくなく、妊娠出産スピリチュアリティセミナーとか体験会みたいな実際の活動を通じて広められていることは想像に難くないので、これだと肝心な部分が抜け落ちていそう。とはいえこれは、書籍だと調査がしやすいという面もあるため、仕方ないといえば仕方ないかも。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がウケた理由はなんだろな/ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』

相変わらずすばらしいエッセイの数々で、中学生の子供の目を通して、底辺気味のイギリス社会を悲しくも美しく描いている。政治だとか差別だとかを勉強するならまずはこの本を読ませたいという感じで、とてもよいエッセイ集でした。

ところで、これ『2』が出るほどヒットしたんだね。では、なんでこんなにウケたんだろうか。もちろんブレイディの書くエッセイのすばらしさは間違いないのだけど、それは彼女の他の著作にもいえることのはず。じゃあ、他のブレイディの本とこの本の違いは何なのだろうか。

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進化心理学を突き詰めるとリベラルにたどり着く/タッカー・マックス、ジェフリー・ミラー『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』

進化心理学をベースにした、モテるための指南書。何よりも、進化心理学を突き詰めていった結果リベラルな態度にたどり着くというのが面白い。進化論的にも道徳的にも非常に納得のいく一冊となっている。