SF

伴名練の趣味全開のSFアンソロジー/伴名練編『日本SFの臨界点』

日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)発売日: 2020/07/16メディア: Kindle版日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA)発売日: 2020/07/16メディア: Kindle版『恋愛篇』は、わりと読みやすい短編が揃っている…

未完成の小説の続きをAIで執筆した衝撃の長編小説集/木下古栗『サピエンス前戯』

サピエンス前戯 長編小説集作者:木下古栗発売日: 2020/08/26メディア: 単行本『文藝』に「新連載」と称して第1回のみが掲載されていた3作に、それぞれ「その後の展開」を加筆した小説集。それを加筆するにあたって、表題作「サピエンス前戯」の中で「ある程…

舞城ミステリーを上手いことSFに落とし込んだアニメ/「ID:INVADED」

JIGSAWED発売日: 2020/01/13メディア: Prime Videoかなり面白いっすよこれ。舞城王太郎っぽい無茶苦茶なミステリー要素を、上手いことSF設定に落とし込んでいて感心した。家族モノとしても悪くないし。「龍の歯医者」と比較するのもアレだけど、舞城王太郎ら…

伴名練っぽさの詰まった佳作短編/伴名練『全てのアイドルが老いない世界』

全てのアイドルが老いない世界(小説すばる Digital Book)作者:伴名練発売日: 2020/07/17メディア: Kindle版手持ちの駒で器用に短編を一本作り上げた感じかな。百合・吸血鬼・歴史改変と伴名練がよく使っている要素で構成された小説なので、新鮮味は薄い。…

スタニスワフ・レム『虚数』読書メモ

虚数 (文学の冒険シリーズ)作者:スタニスワフ レム発売日: 1998/02/01メディア: 単行本スタニスワフ・レム『虚数』(国書刊行会、1998年)の読書メモ。

ブログが「抜粋」であることに注意/伊藤計劃『伊藤計劃記録(1・2)』

伊藤計劃記録 I (ハヤカワ文庫JA)作者:計劃, 伊藤発売日: 2015/03/20メディア: 新書伊藤計劃記録 Ⅱ (ハヤカワ文庫JA)作者:伊藤 計劃発売日: 2015/09/30メディア: Kindle版伊藤計劃が書いた小説以外の文章を集めたもの。いろいろな雑誌などに書いたエッセイと…

本編よりはだいぶいつもの黒沢清っぽい/黒沢清「予兆 散歩する侵略者」

予兆 散歩する侵略者 劇場版 [DVD]発売日: 2018/03/07メディア: DVD本編「散歩する侵略者」だとだいぶはっちゃけていた黒沢清だが、こちらではだいぶいつもの黒沢清っぽかった。どっちが好みかは人それぞれ。ぼくは、「CURE」レベルでドギツいことやらないん…

伴名練「白萩家食卓眺望」読書メモ

SFマガジン2020年04月号発売日: 2020/02/25メディア: 雑誌小説の最後で、共感覚を後天的に身につけることができるという研究が紹介される。そしてそれを元にして、平太郎は味覚→視覚の共感覚を後天的に身につけたのではないか、という可能性が示唆される。

伊藤計劃『虐殺器官』の痛覚マスキングは著者の実体験が元ネタかも

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)作者:伊藤 計劃発売日: 2012/08/01メディア: Kindle版伊藤計劃のブログを読み漁っているんだけども、意外なところから作品とのつながりが見えるのが面白い。その一つが、伊藤計劃は病気の影響で右足の痛覚が失われたようで、そのせ…

悪ふざけ一歩手前の死体遊びアンソロジー/藤井太洋ほか『屍者たちの帝国』

書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国 NOVA (河出文庫)発売日: 2015/10/30メディア: Kindle版いやーいいわあ。伊藤計劃の小説の特徴の一つに、「悪ふざけ一歩手前で楽しく小説を書く」というのがあるとぼくは思っているんだけど、その…

血と獣の世界と思ったら異世界だった/「BloodBorne」

Bloodborne The Old Hunters Edition 通常版 [PlayStation4]メディア: Video Game初フロムゲーだがめちゃくちゃおもしろい。圧倒的に良かったのは世界観で、おどろおどろしい血と獣の世界から、一気に異世界に突入するという仕掛けはとてもよかった。難易度…

正当に進化したPortalの続編/「Portal2」

store.steampowered.com ああ~これだよこれがPortalだよ、という感じの、非常に安心感のある心地良いプレイができた。いろいろなギミックが追加されてはいるが、自由な発想で壁に穴を開けてパズルを解くという本質は同じ。前作ラスボスとの共闘もアツい。不…

1と2のいいとこ取り/「ピクミン3」

ピクミン3 - Wii U発売日: 2013/07/13メディア: Video Game1の日数制限というシステムが大のお気に入りで、なおかつ2の複数人プレイヤーキャラクターというシステムも好きだったぼくにとって、最高のゲームだった。プレイヤーキャラの自動操作機能によってマ…

自由度の高さこそGRAVITY DAZEの魅力である/「GRAVITY DAZE 2 クロウの帰結」

【PS4】GRAVITY DAZE 2 Best Hits作者:出版社/メーカー: ソニー・インタラクティブエンタテインメント発売日: 2017/12/14メディア: Video Game前作からのストーリーの補完としてはまあいいと思う。また、クロウを操作できるということ自体、ファンとしては嬉…

謎は謎のままで終わってしまった/「PSYCHO-PASS 3」

ライラプスの召命メディア: Prime Videoいやあ消化不良にもほどがあるでしょこれ。これがたとえば24分12話でやったとかなら、アニメというフォーマットの問題もあるし仕方ないと擁護できなくもないが、48分8話という変則的なフォーマットにしておいてこれだ…

信じられないくらい読みやすい/劉慈欣『三体』

三体作者:劉 慈欣出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/04メディア: ハードカバー(ベストセラーのくせに)意外にも、アホみたいにスケール広げたバカSF一歩手前の小説といった感じで、けっこう楽しめた。特に後半1/3ぐらいの面白さはホンモノ。ただ、…

敵を撃たなくたってFPSは楽しいです/「Portal」

store.steampowered.com 4時間くらいでサクッと楽しめる、非常に面白いパズルFPSだった。ルール自体はかなりシンプルなんだけど、そのルールをフル活用して非常に凝った謎解きを作ってくれる。スプラ2の「オクト・エキスパンション」に近いかな。SFっぽい背…

当代最高のSF作家の、オーソドックスなSF短編集/テッド・チャン『息吹』

息吹作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/04メディア: 単行本当代最高のSF作家テッド・チャンの、17年ぶりに刊行された第2短編集。オーソドックスなテーマを扱いながら、チャン流の文学的な味付けと情報の圧縮により、大変キレのあ…

ケン・リュウの中国SFの紹介ってだいぶ偏ってたんじゃ……/郝景芳『郝景芳短篇集』

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス) 作者: 郝景芳,及川茜 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2019/03/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 短編集としてはそこそこといったところ。SFアイデアとしてぎょっとするようなものはあんまりないが、端正な…

一面すぎる雪景色/「Horizon Zero Dawn 凍てついた大地」

【PS4】Horizon Zero Dawn Complete Edition PlayStation®Hits 出版社/メーカー: ソニー・インタラクティブエンタテインメント 発売日: 2019/06/27 メディア: Video Game この商品を含むブログを見る まず単純に、あの魅力的なホライゾンの世界が広がる、と…

世界設定もっと知りたければ/塩谷直義「劇場版 PSYCHO-PASS」

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス Blu-ray Standard Edition 出版社/メーカー: 東宝 発売日: 2015/07/15 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (7件) を見る お話としてはしょぼいのひとことに尽きて、1期2期でやたら抽象的な話やったあとに今更独裁者かよ…

ここ20年ぐらいのオタクコンテンツの結晶/伴名練『なめらかな世界と、その敵』

なめらかな世界と、その敵 作者: 伴名練,赤坂アカ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/08/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 年刊日本SF傑作選によく載ってるなーという印象が強かった伴名練の短編集で、コアな国内SFファン待望の1冊だろ…

何から何までディテールがすごい/「Horizon Zero Dawn」

【PS4】Horizon Zero Dawn Complete Edition PlayStation®Hits 出版社/メーカー: ソニー・インタラクティブエンタテインメント 発売日: 2019/06/27 メディア: Video Game この商品を含むブログを見る おもしろかったー。とにかく何から何までディテールがす…

黒沢清がミョーにはっちゃけた/黒沢清「散歩する侵略者」

散歩する侵略者 発売日: 2018/03/07 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (1件) を見る 半分くらいはいつもの黒沢清って感じなんだけど、残り半分は妙にはっちゃけてるのよね。笑っちゃったのが長谷川博己と戦闘機の対決シーンで、いやあんた普段こ…

立派なメアリースーになっちゃって/「PSYCHO-PASS 2」

#1 正義の天秤<299/300> 発売日: 2015/12/18 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る まあなんというか、常守朱が立派なメアリースーになっちゃったという感じ。まあ超人っぷり自体は1期の狡噛と大差ないんですが、狡噛がけっこう味方と対立す…

無難でキャッチーなディストピア/「PSYCHO-PASS」

#1 犯罪係数 発売日: 2015/12/18 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 中核となるアイデアの「犯罪係数」は、衝撃的ってほどではないけど新鮮さはある。ストーリーもまあ無難な感じ。衒学趣味は必要ってほどではないけど、邪魔ってほどでもな…

蘇部健一の面白がり方がようやくわかったかも/蘇部健一『六とん2』

六とん2 (講談社文庫) 作者: 蘇部健一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/08/12 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (12件) を見る 一応『六枚のとんかつ』は既読だが、続きを読んでなかったので今更ながら読んだ。で、今まで…

SF作家の不在こそがゼロ年代SFの特徴?/冲方丁ほか『ゼロ年代SF傑作選』

ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA) 作者: S-Fマガジン編集部,秋山瑞人,冲方丁,海猫沢めろん,桜坂洋,新城カズマ,西島大介,長谷敏司,元長柾木 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/02/10 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 3…

アバチュ2ってこういう話だったのね/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(4~5)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/10/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る アバタールチューナー? (クォンタムデビルサーガ) 作者: 五代 ゆう,前田浩孝…

これをゲームにそのまま落とし込むのは難しいよなあ/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(3)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう,前田浩孝 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2011/06/23 メディア: 文庫 クリック: 21回 この商品を含むブログ (12件) を見る 3巻は、ゲームでは必要最低限しか描写されてい…