小説

伴名練の趣味全開のSFアンソロジー/伴名練編『日本SFの臨界点』

日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)発売日: 2020/07/16メディア: Kindle版日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA)発売日: 2020/07/16メディア: Kindle版『恋愛篇』は、わりと読みやすい短編が揃っている…

最低限はミステリーしてると思う/西尾維新「戯言シリーズ」

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)作者:西尾維新発売日: 2016/05/06メディア: Kindle版ミステリーじゃない! という評判が多いシリーズではあるが、最終巻を除いて、最低限の核はちゃんとミステリーになっていると思う。ミステリーのお…

膨大なデータで読む芥川賞の歴史/川口則弘『芥川賞物語』

芥川賞物語 (文春文庫)作者:則弘, 川口発売日: 2017/01/06メディア: 文庫芥川賞受賞作・候補作の簡単な紹介からゴシップまで、芥川賞の歴史が手ごろな形でまとまっている。特に石原慎太郎以前の話は、芥川賞の話題としてもり取り上げられることが少なく、文…

木下古栗全作品リストを作りました

木下古栗オタクたるもの、いい加減木下古栗の未収録短編を読まねばならないと思い、とりあえず木下古栗の全作品リストを作りました。wikipediaと国会図書館とその他諸々の情報を継ぎ接ぎしてとりあえず作ったため、漏れ・抜け・間違いなど多々あると思うので…

木下古栗全作品リスト

木下古栗の全作品をリスト化しました。 漏れ・抜け・間違いなど、見つけた方はコメントいただけると助かります。

未完成の小説の続きをAIで執筆した衝撃の長編小説集/木下古栗『サピエンス前戯』

サピエンス前戯 長編小説集作者:木下古栗発売日: 2020/08/26メディア: 単行本『文藝』に「新連載」と称して第1回のみが掲載されていた3作に、それぞれ「その後の展開」を加筆した小説集。それを加筆するにあたって、表題作「サピエンス前戯」の中で「ある程…

伴名練っぽさの詰まった佳作短編/伴名練『全てのアイドルが老いない世界』

全てのアイドルが老いない世界(小説すばる Digital Book)作者:伴名練発売日: 2020/07/17メディア: Kindle版手持ちの駒で器用に短編を一本作り上げた感じかな。百合・吸血鬼・歴史改変と伴名練がよく使っている要素で構成された小説なので、新鮮味は薄い。…

真っ当な社会不適合者と不気味な語り手のハーモニー/今村夏子『むらさきのスカートの女』

むらさきのスカートの女作者:今村 夏子発売日: 2019/06/07メディア: Kindle版うおーこれはすごい。存在感のない語り手が忘れたころに現れる不気味さよ。前半~中盤は『コンビニ人間』感もあり、社会不適合者の社会復帰話とストーカー話を無理なく両立させて…

スタニスワフ・レム『虚数』読書メモ

虚数 (文学の冒険シリーズ)作者:スタニスワフ レム発売日: 1998/02/01メディア: 単行本スタニスワフ・レム『虚数』(国書刊行会、1998年)の読書メモ。

ブログが「抜粋」であることに注意/伊藤計劃『伊藤計劃記録(1・2)』

伊藤計劃記録 I (ハヤカワ文庫JA)作者:計劃, 伊藤発売日: 2015/03/20メディア: 新書伊藤計劃記録 Ⅱ (ハヤカワ文庫JA)作者:伊藤 計劃発売日: 2015/09/30メディア: Kindle版伊藤計劃が書いた小説以外の文章を集めたもの。いろいろな雑誌などに書いたエッセイと…

伴名練「白萩家食卓眺望」読書メモ

SFマガジン2020年04月号発売日: 2020/02/25メディア: 雑誌小説の最後で、共感覚を後天的に身につけることができるという研究が紹介される。そしてそれを元にして、平太郎は味覚→視覚の共感覚を後天的に身につけたのではないか、という可能性が示唆される。

伊藤計劃『虐殺器官』の痛覚マスキングは著者の実体験が元ネタかも

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)作者:伊藤 計劃発売日: 2012/08/01メディア: Kindle版伊藤計劃のブログを読み漁っているんだけども、意外なところから作品とのつながりが見えるのが面白い。その一つが、伊藤計劃は病気の影響で右足の痛覚が失われたようで、そのせ…

悪ふざけ一歩手前の死体遊びアンソロジー/藤井太洋ほか『屍者たちの帝国』

書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国 NOVA (河出文庫)発売日: 2015/10/30メディア: Kindle版いやーいいわあ。伊藤計劃の小説の特徴の一つに、「悪ふざけ一歩手前で楽しく小説を書く」というのがあるとぼくは思っているんだけど、その…

9年間おつかれさまでした/渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(14)』

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (14) (ガガガ文庫)作者:航, 渡発売日: 2019/11/19メディア: 文庫まあ正直、大きな驚きもなく、9年前と同じように終わっていった感はある。9年前とほとんど変わらないノリで描かれる一人称の文体は、気がつくとあま…

信じられないくらい読みやすい/劉慈欣『三体』

三体作者:劉 慈欣出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/04メディア: ハードカバー(ベストセラーのくせに)意外にも、アホみたいにスケール広げたバカSF一歩手前の小説といった感じで、けっこう楽しめた。特に後半1/3ぐらいの面白さはホンモノ。ただ、…

当代最高のSF作家の、オーソドックスなSF短編集/テッド・チャン『息吹』

息吹作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/04メディア: 単行本当代最高のSF作家テッド・チャンの、17年ぶりに刊行された第2短編集。オーソドックスなテーマを扱いながら、チャン流の文学的な味付けと情報の圧縮により、大変キレのあ…

先制パンチ喰らって頭がぐらぐらする短編集/村田沙耶香『生命式』

生命式 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 村田沙耶香の本領発揮といった感じの短編集。まあアイデア一発勝負というか出オチ感はあるんだが、それでもちゃーんと印象に残る…

ケン・リュウの中国SFの紹介ってだいぶ偏ってたんじゃ……/郝景芳『郝景芳短篇集』

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス) 作者: 郝景芳,及川茜 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2019/03/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 短編集としてはそこそこといったところ。SFアイデアとしてぎょっとするようなものはあんまりないが、端正な…

日本ホラー小説大賞の懐の深さをあらためて実感する/恒川光太郎『夜市』

夜市 (角川ホラー文庫) 作者: 恒川光太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る じ、地味ぃ……。ファンタジーの割にちょっととりとめもなさすぎる感じはして、可もなく不可もなくかなーと。決して悪…

ここ20年ぐらいのオタクコンテンツの結晶/伴名練『なめらかな世界と、その敵』

なめらかな世界と、その敵 作者: 伴名練,赤坂アカ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/08/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 年刊日本SF傑作選によく載ってるなーという印象が強かった伴名練の短編集で、コアな国内SFファン待望の1冊だろ…

蘇部健一の面白がり方がようやくわかったかも/蘇部健一『六とん2』

六とん2 (講談社文庫) 作者: 蘇部健一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/08/12 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (12件) を見る 一応『六枚のとんかつ』は既読だが、続きを読んでなかったので今更ながら読んだ。で、今まで…

SF作家の不在こそがゼロ年代SFの特徴?/冲方丁ほか『ゼロ年代SF傑作選』

ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA) 作者: S-Fマガジン編集部,秋山瑞人,冲方丁,海猫沢めろん,桜坂洋,新城カズマ,西島大介,長谷敏司,元長柾木 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/02/10 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 3…

アバチュ2ってこういう話だったのね/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(4~5)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/10/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る アバタールチューナー? (クォンタムデビルサーガ) 作者: 五代 ゆう,前田浩孝…

これをゲームにそのまま落とし込むのは難しいよなあ/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(3)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう,前田浩孝 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2011/06/23 メディア: 文庫 クリック: 21回 この商品を含むブログ (12件) を見る 3巻は、ゲームでは必要最低限しか描写されてい…

ジナーナとルーパの扱いがとにかく嬉しい/五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(1~2)』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA) 作者: 五代ゆう,前田浩孝 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2011/02/18 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 26回 この商品を含むブログ (27件) を見る クォンタムデビルサーガ アバタール…

第9回Twitter文学賞

異セカイ系 (講談社タイガ) 作者: 名倉編 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/08/22 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 20…

作家カタログとしての側面がほしい/ヤロスラフ・オルシャ・jr編『チェコSF短編小説集』

チェコSF短編小説集 (平凡社ライブラリー) 作者: jr.,ヤロスラフオルシャ,jr.,Jaroslav Ol〓a,平野清美 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2018/10/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る チェコで書かれたSF短編小説を集めたアンソロジー。正…

ミステリーの皮を被ったSF、あるいはSF/法月綸太郎『ノックス・マシン』

ノックス・マシン (角川文庫) 作者: 法月綸太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2015/11/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を見る ミステリー作家の法月綸太郎が書いた短編集。しかし、純粋にミステリーと言えるのは1作のみで、残…

単行本で一気に読むべき/木下古栗『人間界の諸相』

人間界の諸相 (単行本) 作者: 木下古栗,愛☆まどんな 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/01/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『生成不純文学』が刊行された時期に、この小説は『小説すばる』で連載されていて、その一部がネットで無料公…

ゼロ年代キャラクター小説の絞り汁/名倉編『異セカイ系』

異セカイ系 (講談社タイガ) 作者: 名倉編 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/08/22 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る まあゼロ年代キャラクター小説の絞り汁みたいな小説で、ちょっとその味の濃さにびっくりしてしまう感じはあり、「ゼ…