再公営化の流れが来ているのは喜ばしい/岸本聡子『水道、再び公営化!』

水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと (集英社新書)作者:岸本聡子集英社Amazonフランスやイギリスなど今まで民営化が進んでいた水道が、近年再公営化されるというトレンドがあり、それについて追った本。もちろん背景にあるのは反緊縮政策で…

どちらかというとフェミニズムよりも黒人文学の色が強い/オクテイヴィア・E・バトラー『血を分けた子ども』

血を分けた子ども作者:オクテイヴィア・E・バトラー河出書房新社Amazon当たり外れが激しい印象。退屈だったり異様に読みにくい短編もちょこちょこある一方で、「血を分けた子ども」「夕方と、朝と、夜と」「恩赦」あたりの最低限の説明でクールに決める感じ…

類書と比べてもいい本だが、ややスベり?/戸田山和久『最新版 論文の教室』

最新版 論文の教室 レポートから卒論まで NHKブックス作者:戸田山 和久NHK出版Amazonちょっと引用などについてのルールがしっかり書いてある本を持っておきたかったので、せっかくなので戸田山和久が書いた本書を購入した。全体的には、レベルの低い層に…

2品目のおかずを楽に作りたいあなたに/勝間和代『勝間式超ロジカル料理』

ラクして おいしく、太らない! 勝間式 超ロジカル料理作者:勝間 和代アチーブメント出版Amazonやはり、勝間和代はほとんどすべての料理が完全代替材になっているタイプの人間なので、全部を真に受けるわけにはいかない。それでも、2品目のおかずを作る上で参…

山形浩生の経済エッセイの集大成/山形浩生『経済のトリセツ』

経済のトリセツ作者:山形浩生亜紀書房Amazon山形浩生の経済絡みのエッセイを集めたもの。気楽に読める上に示唆に富むものも多く、とてもいいエッセイ集。ある意味集大成的でもある。本書に収録されているエッセイの多くは山形のウェブサイトでも読めるのが欠…

野沢温泉の源泉かけ流しはちょっと熱い/野沢温泉 千歳館

hb.afl.rakuten.co.jp 野沢温泉は源泉の温度がかなり高く、ちょっと熱すぎるのだけれど、千歳館ではそれをしっかり源泉かけ流ししている。まあ源泉かけ流しこそが至高という価値観もわからんでもないけれども、旅館に泊まって気楽に温泉に入りたいのに、いち…

地域に根づく共同湯/野沢温泉 外湯

onsen.nifty.com 野沢温泉の地域では、数多くの外湯を共同体で管理しているそうな。流石にボランティアによる管理だと施設の充実性は望めないけれども、逆にいうとこれだけの設備でも温泉として成立するという驚きはある。シャワーすらないのはつらいとか、…

フード左翼の分析と批判が的確/速水健朗『フード左翼とフード右翼』

フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人 (朝日新書)作者:速水健朗朝日新聞出版Amazon食を巡る価値観の対立を「フード左翼」「フード右翼」という直感的にわかりやすい造語で説明するのはすばらしいし、フード左翼の分析と批判も的確。その一方で、フー…

これぐらいの穏当な無神論であればガンガン推し進めちゃったほうが世界のためなのでは/リチャード・ドーキンス『神のいない世界の歩き方』

神のいない世界の歩き方 「科学的思考」入門 (ハヤカワ文庫NF)作者:リチャード ドーキンス早川書房Amazonまあいろいろと宗教絡みで問題が発生しているので手始めにドーキンスを。無神論と、それをサポートするための科学(主に進化論)の入門書。これぐらい…

パラパラ流し読みしてもまあまあ面白い/東畑開人『心はどこに消えた?』

心はどこへ消えた? (文春e-book)作者:東畑 開人文藝春秋Amazonちょっと長めの序文は本当にすばらしく、ここ20年ぐらいの平成不況が原因で心の問題よりも社会の問題のほうがずっと大きくなってきてしまったという話はとても説得力ある。でも、その後に続く本…

斎藤らしい着目点/斎藤美奈子『文庫解説ワンダーランド』

文庫解説ワンダーランド (岩波新書)作者:斎藤 美奈子岩波書店Amazon文庫解説に着目した滅多斬り系の本。読む前は「文庫解説ごときに注目してもどうにもならんでしょ」と思っていたが読んでみたらこれが面白い。特に著作権が切れているような古典的小説の解説…

女性であることが活かされているか?/奥浩哉、イイヅカケイタ『GANTZ:G』

GANTZ:G 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)作者:奥浩哉,イイヅカケイタ集英社Amazonうーん登場キャラクターの多くが女性であることが活かされているわけではないかな。大半が先輩兄ちゃんの言いなりだったし。『GANTZ』本編でも、数は少ないとはいえ女性…

「読んだ本」「読んだマンガ」の定期更新を停止します

いつもブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。私生活が忙しくなりそうなため、毎月の初めに投稿していた「読んだ本」「読んだマンガ」の更新を停止します。申し訳ございません。なお、今まで「読んだ本」「読んだマンガ」で多少長めに書いてい…

ニール・ゲイマン「本の裏表紙に載っている生命体が細菌である可能性」 in 2010年イグノーベル賞の24/7レクチャー

improbable.com講師: ニール・ゲイマン(作家、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・カーネギー賞の受賞者) 24秒で*1:本の裏表紙に載っている生命体が作家なのか細菌なのか不確かなときは、人類の人口を60億人として、そのうち半分以下が出版経験のある作家だと仮定…

イグノーベル賞のハイゼンベルグ確定性講演は廃止され、24/7レクチャーとなった

ヘンな科学 “イグノーベル賞” 研究40講作者:五十嵐杏南総合法令出版Amazonイグノーベル賞にはハイゼンベルグ確定性講演という短いスピーチがあるというのを、山形浩生がポール・クルーグマンの講演を訳したもので知っていた。 cruel.org ……のだけれど、この…

こんなばかSFにまじになっちゃってどうするの/三島由紀夫『美しい星』

美しい星 (新潮文庫)作者:由紀夫, 三島新潮社Amazonおもしろーい。信頼できない語り手というか、信頼できない作者というか。自分は宇宙人だと断言する胡散臭い家族がまあまあでかい騒動を起こすドタバタコメディ寄りの話として読むのが素直だと思う。暁子を…

加藤シゲアキにしか書けないゲデモノ小説/加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる』

チュベローズで待ってる AGE22(新潮文庫)作者:加藤シゲアキ新潮社Amazonチュベローズで待ってる AGE32(新潮文庫)作者:加藤シゲアキ新潮社Amazonすっげー。上巻「AGE22」はよくある就活青春小説って感じであまり面白くないんだが、下巻「AGE32」に入って…

読んだマンガ(2022/7)

7月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2022/7)

7月に読んだ本のまとめ。

料理の理屈を理解する/五藤隆介『チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理』

チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理作者:五藤 隆介秀和システムAmazonサンプルだけ読んで、料理初心者のためにやたらとバカ丁寧に具体的なレシピが書いてあるだけの本かと勘違いしていたんですが、あらためて読んでみたら思ったよりもよい本…

ミステリーは平和のためにある/米澤穂信『黒牢城』

黒牢城 (角川書店単行本)作者:米澤 穂信KADOKAWAAmazon管理職おじさんの荒木村重が、牢屋に閉じ込めた安楽椅子探偵の黒田官兵衛に謎を推理してもらって城中の平穏を守る話。まず単純に、本格ミステリのお約束を戦国時代という時代に落とし込むのがうまい。首…

何でもかんでも露天風呂にすりゃいいってもんじゃないのよ/有明泉天空温泉 泉天空の湯 有明ガーデン

onsen.nifty.com 有明の複合施設のにある温泉。泉質自体はやや黄色がかった塩分高めで、東京によくある温泉。ただ、その温泉が露天風呂にしかないというのはちょっとなあ。露天風呂自体は選択肢としてあっても全然いいんだけれども、屋内に1つも温泉の浴槽が…

ホラーを自然化する/戸田山和久『恐怖の哲学』

恐怖の哲学 ホラーで人間を読む NHK出版新書作者:戸田山 和久NHK出版Amazonホラーというジャンルをベースに、感情の哲学から出発してホラー論を経由し、最終的に意識の哲学へと執着するたいへん欲張りな本。戸田山らしく、全体を通して自然主義・唯物論が…

読んだマンガ(2022/6)

6月に読んだマンガのまとめ。

読んだ本(2022/6)

6月に読んだ本のまとめ。

音音音痛み痛み痛み/ティム・イーガン「CURVE」

www.youtube.com 「音音音痛み痛み痛み」って感じの映画。奇抜なシチュエーションありきのホラーではあるのでダレそうですが、10分なのでなんとかなっている。音の使い方がとても上手で、的確に嫌悪感を煽られる。塚本晋也「HAZE」を思い出したが、取ってつ…

独創的な発明はちょっとしたテクニックの組み合わせでできている/藤原麻里菜『無駄なマシーンを発明しよう!』

無駄なマシーンを発明しよう! ~独創性を育むはじめてのエンジニアリング~作者:藤原 麻里菜技術評論社Amazonよく変な工作をやっている藤原麻里菜による、簡単な電子工作のガイドブック。マイコンなどの多少専門的な道具の使い方や、藤原お得意の独創的なア…

和の雰囲気を頑張って作っている/三郷温泉 野天湯元・湯快爽快『湯けむり横丁』みさと

onsen.nifty.com 全体的に雰囲気作りをがんばっていて、都会の温泉ながら、きっちり和の雰囲気を前面に押し出している。泉質は関東の方によくある塩分高めの黄色いお湯だが、露天風呂も内風呂もあり、つぼ湯足湯などバリエーションも豊富なのでわりと満足度…

本を読むという行為の多様さについて/ナカムラクニオ『本の世界をめぐる冒険』

本の世界をめぐる冒険 NHK出版 学びのきほん作者:ナカムラ クニオNHK出版AmazonまあNHK出版から出ているゆるそうなシリーズの一冊ということでナメていたんだが、意外や意外、とても良い本だった。基本的には本や読書の歴史を俯瞰する本だが、そこには著者の…

頂上戦争を思い出させるワクワク感/大塚隆史「ONE PIECE STAMPEDE」

ONE PIECE STAMPEDE山口勝平Amazon映画ワンピースの中で1番好き。頂上戦争編の時と同じ人気キャラのオンパレードで、たいへんワクワク感がある。強いて難癖をつけるのであれば、最悪の世代を揃えたいという意図のために、カイドウ傘下になっ…