8月に読んだ本のまとめ。
伴名練「別の本」『別冊文藝春秋』(2020年1月号)
裏話的な感じ。まあ伴名練ファンであれば面白いかと。
超久しぶりに読んだ。
中島敦「
山月記」みたいな自意識過剰エリート
陰キャの破滅みたいな脳内イメージを持っていたんだけど、改めて読むと全然そんな話じゃなくて、なんというか
陽キャの闇みたいな話で、全く共感できなくてびっくりした。
作家と向き合うという行為を体現するような本。詳細は
ここ。
石川理夫『本物の名湯ベスト100』(講談社現代新書、2016年)
温泉の評価はどうしても主観が入り込むものではあるが、そんな中でなるべく評価軸を明確化しようという姿勢は好感が持てる。また、教条的な源泉かけ流し主義への批判など、現代的な視点も良かった。無理してランキング形式にする必要はなかったかも。
とにかくルールが恣意的で作り物感が強すぎるのが気になる。青春
ラノベとしてはまあ及第点かもしれんが。
前田司郎『グレート生活アドベンチャー』(新潮文庫、2010年)
表題作は全体的にふわっとしていて微妙。併録の「ゆっくり消える。記憶の幽霊」がけっこうな怪作で、要するに走馬灯なんですがその内容が実にくだらなく、だからこそ変な生々しさがあってとてもよかった。
木下古栗「スターバックスにおいて射精直後と思しき自慰行為者を目撃した際の対応について」(『生活考察』Vol.04、2013年4月)
小説ではそれなりに隠せている木下古栗のセクハラ的な部分が、このエッセイではモロに出ていてかなり嫌な感じがした。
木下古栗「爆乳は一見にしかず」(『生活考察』Vol.05、2014年2月)
こちらはよかった。エッセイからシームレスに妄想AVに移行する感じとかが面白い。
加藤シゲアキ『ピンクとグレー』(角川文庫、2014年)
後半がそこそこ面白く、特にラストの現実と映画がぐちゃぐちゃに混ざってわけわかんなくなるところとかはけっこうよかった。前半で章立ての構造が雑になっている箇所があったりするのは残念かも。
まあ老人のたわ言感はあるんだけれども、しかしその老人というのが
蓮實重彦なので無視はできないかなあ。