鈴木たかのりほか『Pythonエンジニア ファーストブック』読書メモ②

Pythonエンジニア ファーストブック

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鈴木たかのりほか『Pythonエンジニア ファーストブック』の読書メモ
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※データ分析の情報がほしかったため、第6章はほぼ目を通していません

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鈴木たかのりほか『Pythonエンジニア ファーストブック』読書メモ①

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先制パンチ喰らって頭がぐらぐらする短編集/村田沙耶香『生命式』

生命式

生命式

 

 村田沙耶香の本領発揮といった感じの短編集。まあアイデア一発勝負というか出オチ感はあるんだが、それでもちゃーんと印象に残るあたり、村田の地力の高さが伺える。全体的にコンパクトにまとまっているのもぼく好み。

特に面白かったのはやはり表題作の「生命式」で、もったいないから死体を食べるというぶっとんだ設定と、セックスだとか妊娠だとか常識の恣意性だとか村田沙耶香お得意のテーマがうまく融合している。その他は、やたら小ネタの多い「素敵な素材」、よくあるモノフェチ小説かと思ったら意外なところに着地する「かぜのこいびと」、ペルソナの目まぐるしい使い分けの書き方がクセになる「孵化」がおもしろかった。

統計学は小説を読めるか?/ベン・ブラット『数字が明かす小説の秘密』

数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで

数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで

 

 算数以上データ分析未満の手法を使って小説を分析しましたという本。基本的なスタンスは『カルチャロミクス』に近いが、小説に的を絞って分析をしている分、テーマがはっきりとしている。エッセイとしてもちゃんと面白い。

 分析の多角さもよい。小説家のクセからジェンダーまで、さまざまな視点から仮説を検証している。文学作品だけでなく、ベストセラー小説や2次創作小説まで分析の対象に入っているのもよい。また、何でもかんでも単語数を調べるだけだった『カルチャロミクス』とは違って、本の表紙や分量のような、「本」についての分析をしているのもおもしろい。

 強いて不満を上げるなら、分析対象が英語圏の小説に限られていることかなあ。まあデータ分析という手法上英語の小説しか扱わないのもしょうがないとは思うんですが、その一方で分析の限界ってこんなもんかあとも思う。せめて翻訳小説を扱っていたらまたちょっと印象は違ったかもしれないんですが……。翻訳者Aが翻訳した作家Xの小説は、翻訳者Aが翻訳した作家Yの小説と、翻訳者Bが翻訳した作家Xの小説のどっちに似てるの? とかいろいろ論点はありそうなもんだし、そこは残念。

 

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ケン・リュウの中国SFの紹介ってだいぶ偏ってたんじゃ……/郝景芳『郝景芳短篇集』

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

 

 短編集としてはそこそこといったところ。SFアイデアとしてぎょっとするようなものはあんまりないが、端正な文章でわりと読ませる。特に「弦の調べ」は、宇宙エレベーターを弦に見立てるスケールのデカさと淡々とした人間ドラマが無理なく両立していて良かった。

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