神山仁那は本当に「ミニスカート」に「さよなら」できるか?/牧野あおい『さよならミニスカート(1~2)』

「本当に神山仁那は「ミニスカート」に「さよなら」できるのか?」というのが、最初に読んだときに受けた印象だった。早々に「仁那を襲った犯人=堀内光」という路線を捨ててしまったので、仁那が少女マンガ的な文脈の中で堀内と結ばれるに至る、という終わりが容易に想像でき、それはおそらく「ミニスカートからはさよならできない」ことを意味する。
本当にそれで良いんだろうか? 男性社会によって傷つく女の子を救うことができるのは、少女マンガの白馬の王子様だけなんだろうか? ぼくはそんなことはないと思う。だからなんとしても、このマンガだけは普通の少女マンガみたいな終わりを迎えてほしくないんだけれども……。

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舞城ミステリーを上手いことSFに落とし込んだアニメ/「ID:INVADED」

JIGSAWED

JIGSAWED

  • 発売日: 2020/01/13
  • メディア: Prime Video
かなり面白いっすよこれ。舞城王太郎っぽい無茶苦茶なミステリー要素を、上手いことSF設定に落とし込んでいて感心した。家族モノとしても悪くないし。「龍の歯医者」と比較するのもアレだけど、舞城王太郎らしさが良い方向に表れている。

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高難易度なアクション「RPG」/「ダークソウル」

DARK SOULS REMASTERED (特典なし) - PS4

DARK SOULS REMASTERED (特典なし) - PS4

  • 発売日: 2018/05/24
  • メディア: Video Game
SEKIROブラボあたりから入ると、あーこれアクション「RPG」だなーという印象を強く受けた。アクション性が必要とされる場面はそれほど多くなく、武器やビルドや立ち回りがモノをいうゲームだなあという感じ。まあアクション寄りが好きかRPG寄りが好きかで好みは分かれるかもしれないが、とりあえず面白い。

マップは、シームレスかつ程よく入り組んだ立体構造はわりと好み。また、敵キャラクターも含めて中世ファンタジー風のデザインは魅力的。その一方で、狭い足場でプレイヤーを殺そうとするマップが何個もあるのはちょっとしつこい感じがする。

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伴名練っぽさの詰まった佳作短編/伴名練『全てのアイドルが老いない世界』

手持ちの駒で器用に短編を一本作り上げた感じかな。百合・吸血鬼・歴史改変と伴名練がよく使っている要素で構成された小説なので、新鮮味は薄い。とはいえ、それらの設定をうまくアイドルという現象に絡めてSFに練り上げるのは見事。

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真っ当な社会不適合者と不気味な語り手のハーモニー/今村夏子『むらさきのスカートの女』

むらさきのスカートの女

むらさきのスカートの女

うおーこれはすごい。存在感のない語り手が忘れたころに現れる不気味さよ。前半~中盤は『コンビニ人間』感もあり、社会不適合者の社会復帰話とストーカー話を無理なく両立させている。終盤は若干失速気味か。

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