8月に読んだ本のまとめ。
東川篤哉『交換殺人には向かない夜』(光文社文庫、2010年)
アクロバティックながらもかなりロジカルに作られた交換殺人モノ。いまいち要領を得ない事件の全容が、解決編でパズルのごとくピタっとハマるのがとても快感。飛び地が云々の部分に若干の無理はあるか。
叙情感のあふれる短編ミステリー集。「藤の香」が好み。
田辺青蛙『モルテンおいしいです^q^』(廣済堂出版、2014年)
田辺・円城夫妻の
アメリカ滞在記。異国でも飄々としている
円城塔の姿が見れるのでファンアイテムとして良い。
うーんこのオチはほとんど反則なのではないか。あと二人称文体がやたら読みづらい。
多根清史『教養としてのゲーム史』(ちくま新書、2011年)
紙幅の問題でジャンルについての網羅性が欠けているのは仕方ないと思うけど、ほぼ触れられていないゲーム機がけっこうあるのはなんだかなあという感じ(特にプレステと携帯ゲーム機)。やっぱり新書でゲーム史は無理なんや……。
架空の本の序文集……なんて紋切り型の紹介にはとても収まらない、知性の進化をテーマにしたちょっと尋常じゃない小説。ぼくの読書メモは
ここ。
まあ
魔法少女モノの異能バトル系暗黒
ライトノベルとしてはまあまあなのでは。ミステリーもフレーバー程度にはあるし。
東川篤哉『ここに死体を捨てないでください!』(光文社文庫、2012年)
東川篤哉的なノリを
倒叙形式でやるのが受け入れられなかった。笑いよりも先に嫌悪感が湧いてしまった。トリックとかはけっこうよくできてるんだけどなあ。
綾辻行人『Another エピソードS』(角川文庫、2016年)
毒にも薬にもならん。
辻村深月『鍵のない夢を見る』(文春文庫、2015年)
辻村深月って短編のほうがいいなあ。長編だと冗長だなーって思ってしまうような話が、1編50ページぐらいでうまいことまとまっている。
今村夏子『むらさきのスカートの女』(朝日新聞出版、2019年)
芥川賞受賞の不気味な傑作中編。詳細は
ここ。
伴名練『全てのアイドルが老いない世界』(集英社、2020年)
伴名練っぽさの詰まった佳作短編。詳細は
ここ。