読んだ本(2020/7)

7月に読んだ本のまとめ。

辻村深月『凍りのクジラ』(講談社文庫、2008年)

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

やたら冗長だったり、オチが微妙だったりといろいろ難はあるが、それを強引に読ませるだけの話運びやキャラの魅力はある。

東浩紀『セカイからもっと近くに』(東京創元社、2013年)

うーーん。後述の前島本を読むと、だいぶ適当な議論に見えるのよねー。その割に議論や結論が独創的ってわけでもない。

法月綸太郎『ふたたび赤い悪夢』(講談社文庫、1995年)

ふたたび赤い悪夢 (講談社文庫)

ふたたび赤い悪夢 (講談社文庫)

これもなっげー。その長さの大半が綸太郎くんのウジウジした悩み事に費やされてはいるが、まあこういうミステリーも悪くはないか。トリックとかは普通。

今野真二『盗作の言語学』(集英社新書、2015年)

いやーひさびさにひっどい新書を読んでしまった。言語学といいながらやっていることは到底言語学とは言いがたく、ただ盗作元と盗作先を横に並べて比較するだけなのがほとんど。本の構成もとっ散らかっていてたいへん読みにくい。

前島賢セカイ系とは何か』(星海社文庫、2014年)

セカイ系とは何か (星海社文庫)

セカイ系とは何か (星海社文庫)

  • 作者:前島 賢
  • 発売日: 2014/04/11
  • メディア: 文庫
これは面白い。俗流セカイ系論に対する強烈なカウンター。いかに論壇系の人たちが適当かということがよくわかって痛快。

伴名練「白萩家食卓眺望」(『S-Fマガジン』2020年4月号、早川書房

SFマガジン2020年04月号

SFマガジン2020年04月号

  • 発売日: 2020/02/25
  • メディア: 雑誌
伴名練お得意の、昭和の女の子の年代記。ぼくの読書メモはここ

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』(文春文庫、2018年)

スクラップ・アンド・ビルド (文春文庫)

スクラップ・アンド・ビルド (文春文庫)

びみょ。多分作者の意図とはいえ、軽薄な主人公のくだらない老害論を延々と聞かされるのはストレスがたまる。

東畑開人『居るのはつらいよ』(医学書院、2019年)

沖縄を舞台に繰り広げるケアとセラピーについての傑作エッセイ。詳しくはここ

法月綸太郎『名探偵傑作短篇集 法月綸太郎篇』(講談社文庫、2017年)

あまり短編ミステリーが好きじゃない人間にとって、「特定の探偵の短編小説の傑作選」というのはありがたい。「リターン・ザ・ギフト」が好み。

海猫沢めろん『左巻キ式ラストリゾート』(星海社文庫、2014年)

左巻キ式ラストリゾート (星海社文庫)

左巻キ式ラストリゾート (星海社文庫)

うーんちょっと途中が単調すぎる。

東川篤哉『完全犯罪に猫は何匹必要か?』(光文社文庫、2008年)

烏賊川市シリーズはかなり久しぶりに読んだけど、相変わらずものすごく面白い。三毛猫探しという探偵のしょーもない仕事の代名詞を、ガッツリ殺人事件に絡めていってうまい。