いっそ反緊縮エッセイアンソロジー出してほしい/松尾匡編『「反緊縮!」宣言』

「反緊縮! 」宣言

「反緊縮! 」宣言

まあ松尾匡編ということで、路線は『この経済政策が民主主義を救う』とか『そろ左派』とかと同じ。まー経済のおべんきょうしたくて読むなら他の松尾の本とかでええやんという感じはしていて、勉強になったのは梶谷壊の中国における反緊縮政策の解説くらいかなあ。

その一方で、エッセイ集としてはアリ。とくに良かったのが岸政彦「他者を殴る棒」で、ここ数年の排外主義や弱者差別が反緊縮に綺麗に接続されるという指摘は本当にすばらしい。薔薇マーク立ち上げの経緯とかもおもしろい。

だったらいっそ、エッセイ集として特化したほうが、類書との差別化もできてよかったのでは。そうなると反緊縮エッセイストの女王ブレイディみかこは当然ほしい。有名人枠としては麻木久仁子勝間和代もいてほしいかな(客寄せパンダ気味ではあるが)。学者だと稲葉振一郎とかはほしいし、井上智洋にも(本書のようなヘリマネの話だけでなく)AIと絡めた話とかもしてほしい。政治家方面では山本太郎はもちろんだが、宇都宮健児あたりが書いてもおもしろそう。文学方面だと斎藤美奈子は絶対にいてほしいし、柴崎友香や木下古栗あたりの短編小説があったらだいぶお得な感じになるだろう。そんな本、出ないかなあ……。