独創的な発明はちょっとしたテクニックの組み合わせでできている/藤原麻里菜『無駄なマシーンを発明しよう!』

よく変な工作をやっている藤原麻里菜による、簡単な電子工作のガイドブック。マイコンなどの多少専門的な道具の使い方や、藤原お得意の独創的なアイデアの出し方とか、いろいろ参考になるところはあるんだけど、一番参考になったのは、ありあわせの機械を組み合わせてちょっとした機械を作るところ。ラジコンカーを応用してスロットやら発射台やらを作るなんて、言われてみればたいしたことではないんだけど、今まで考えもしなかった。

そして、独創的な発明を生み出すのは、こういうちょっとしたテクニックとかコツのストックなんだろうなと思った。独創性というとなんとなく天才性を連想してしまいがちなんだけど、本書を読んでいると、そういう発想とかよりもむしろいろいろな手段を知っていることのほうが重要なんじゃないか、という気がしてくる。具体的なテクニックを知っていることで、突飛な発想を地に足のついた発明へと具体化できるのだろう。さらにいえば、この話は発明や工作のみならず、創造性を必要とするあらゆる物事に応用できる。

また、全編を通してのとても優しい語り口もとてもよい。まあなんか肯定ペンギンみたいなノリなので苦手な人もいるかもしれないが、とりあえずやってみようという本においてなんでもかんでも肯定してくれるのは救いになる。

ということで優しい/易しい、すばらしい本です。一部難しい漢字はひらがなになっているので、小学校高学年の児童ぐらいなら読めるはず。でも示唆するものはかなり大きいと思うので、大人が読んでもそれなりに満足はできるでしょう。ぼくもにわかプログラマーとして、無駄なWebサイトを作らなければ……。