リブートってこんなもんなのかね/「ポケットモンスター Let's Go! イーブイ」

ポケットモンスター Let's Go! イーブイ- Switch
 

 機能の削除っぷりがすさまじくてびっくり。USUMからの機能縮小ならまだしも、ファイアレッドリーフグリーンどころか赤・緑からできないことが増えてることもあって(釣りとかサファリゾーンとか)、「リブートってこんなもんなの!?」と強く思った。

もちろんリブートということで、追加要素もたくさんある。復活した連れ歩きシステムとかはものすごく凝っていてかなりよかったと思うし、相棒技も本編では不遇なピカチュウイーブイを最後まで使えるようになっていてよかった。あとロケット団幹部にアポロが追加されてたりとか。ただその一方で、ライバルがよくわからない人のいいキャラになっていていまいちチャンピオン戦のカタルシスがなかったりとか、ポケモンタワーでゆうれいに捕まると最初まで戻されるとか、わけのわからない追加要素も多い。

一応、本作はポケモンGOから入った人にやりやすいように作られているみたいなので、ぼくみたいに既存のポケモンファンには物足りないことは想定済みだろう。ただ、前述のような要素の追加や削除が、ポケモンGOから入った人にとってありがたいものかというと、それはそれで疑問である。

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デモ版なのにここまで充実しちゃっていいの?/「DELTARUNE」デモ版

www.deltarune.com

 

まず戦闘システムは、明らかに「UNDERTALE」より進化している。敵の攻撃をギリギリでよけるとMP(みたいなもの)が回復するというシステムが秀逸で、敵の攻撃のターンがただ避けるだけの場でなく、次の自分のターンに備えるための準備ターンともなっている。ターン制RPGにおける革命だと思う。仲間キャラができたのも、MPを稼いで行動するシステムをより戦略性の高いものにしている。

また、仲間キャラができたのはストーリー的にもよいこと。前作から続く「友情」みたいな主題が、ゲームシステムとより直接的に結びついていてよいと思う。

しかしこれ、こんなデモ版よく出せるなあという感じはある。デモ版といいつつ分量的にはパピルス戦くらいまでのボリュームはあるし。なにより驚いたのは、隠しボスが前作のラスボス(アズゴア・アズリエル)以上に強いっていうところ。しかもこれより強いボスを出す予定みたいだし。いやもちろん心を奪われざるを得ないんですが、でもそんなに充実させちゃっていいの???

 

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初FEでも無理なく楽しめる/「ファイアーエムブレム 聖魔の光石」

 ファイアーエムブレムシリーズって難しいと聞いていたので、シリーズの中でも比較的難易度が低いらしいこちらをプレイしてみた。まあ何キャラかロストしたり何度かリセットしたりはしたけど、でも全然初心者でも楽しめると思う。なにより20時間ぐらいでサクっと遊べるのがいい。FE体験版としてすごく優秀なんじゃないかな。まあその分ストーリーとかの面では惹かれる部分は少ないかもしれないけど。

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何をどう扱おうとも円城塔は円城塔である/円城塔『文字渦』

文字渦

文字渦

 

 この連作短編集の特徴は2つ。1つはほとんどが文字についての小説だということで、もう1つは和風・中華風だということだ。

前者については、文字というものを徹底的にドライに扱うスタンスは、こういう作家はなかなかいないというのもあり、かなり共感できる。その一方で、短編集という形式のためか、後半になると若干飽きてくるのは欠点かもしれない。

後者については、昔の円城はけっこうカタカナ・英語多めの作風だったので、かなり新鮮な印象。もちろん円城は変に興味が幅広いタイプの人間なので(書評集を読めばわかる)、生半可じゃない知識を存分に活かしてきっちり作品を仕上げている。

とはいえ、文字を扱おうが東洋風だろうが、円城塔の小説は円城塔の小説である。題材や雰囲気が変わろうとも、良くも悪くもスタイルは変わらないので、今までの円城が好きだった人は大喜びするだろうし、今までの円城馴染めなかった人は首をひねるだけだろう。ぼくは大喜びでした。

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